こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
悪い姿勢の代表的なものに「猫背」があります。
猫背は単に見た目の問題だけではなく、腰痛や椎間板ヘルニアなどの原因となることがあります。
猫背による姿勢の悪化が腰部への負担を増し、その結果、腰の痛みや足のしびれを引き起こすことがあるのです。
そこで、今回は猫背が椎間板ヘルニアの原因になる理由や対策についてお伝えします。
◎ 猫背がなぜヘルニアの原因になるのか理解できる
◎ 猫背を気を付けるようになり、椎間板ヘルニアの予防・改善に繋がる
といった2つのメリットがあります。
猫背で腰の調子が悪い、椎間板ヘルニアの診断を受けたあなたの参考になるでしょう。
是非読んでください。
猫背は椎間板ヘルニアの原因になんでなるのか?
では、なぜ猫背が椎間板ヘルニアの原因になるのでしょうか?
説明していきたいと思います。
猫背によって、椎間板の髄核が飛びだしてしまうから
一般的に正常な腰椎は前方が凸になるように弓なりに反っています(生理的前弯)。
このような状態が理想ですが、猫背になるとこの前弯(腰を過度に沿っているようなイメージ)が減少してしまいます。
そして、腰椎の前弯が減少すると、椎間板の前方へ力がかかるようになるのです。(これは、椎間板と髄核の機能的な問題になります)
椎間板の中には髄核という、クッションの役割を持つゲル状の物質が入っています。
猫背によって腰椎部分の前弯が減少して、腰椎前方に偏った力がかかると、椎間板内部の髄核は後方へ移動してしまいます。
まるで一部を押しつぶされたアンパンのようになります。
さらに押しつぶされ続けると、椎間板の一部が後ろへ飛び出してきたり、内部の髄核が、椎間板にできた亀裂から飛び出してきたりします。
そしてこの飛び出した部分が、神経を圧迫すると椎間板ヘルニアの症状が出現してしまう。という事なのです。
このように、猫背の姿勢は髄核の後方への移動を促し、髄核を飛びださせる原因となり得ます。
猫背が椎間板ヘルニアの原因になるのはこのようなことがあるからです。
猫背だと椎間板への負荷が強くなるから
立位を100とした場合の、姿勢と腰椎への負荷の関係
姿勢は腰椎椎間板への負荷に大きく影響を及ぼします。
立位を基準として、前かがみの姿勢をとるだけで、立位の約1.5倍の負荷がかかります。
腰かけて前かがみになると、さらにその負荷は上昇します。
また、悪い姿勢のまま作業を行ったり、荷物を持ったりすると負担はさらに大きくなります。
このように負荷が大きくなると、椎間板は常に大きな力を受けることとなるのです。
通常椎間板は年齢とともに変性しますが、負荷が多くかかればこの変性が加速され、損傷する危険性が高まります。
椎間板が損傷(亀裂など)を起こせば、その損傷した部分から内部の髄核が飛び出すなどして、ヘルニアを起こしやすくなります。
このように、猫背という姿勢の悪化によって腰椎椎間板への負荷が強くなり、その結果椎間板ヘルニアのリスクが高まると言えるでしょう。
猫背は椎間板ヘルニアだけではない、他の腰痛の原因にもなる
猫背が引き起こすのは椎間板ヘルニアだけではありません。
先ほど椎間板への負荷は椎間板の損傷を引き起こすということをお伝えしました。
椎間板の外側部分には痛みを感じる神経が分布しているため、この部分が損傷すると、痛みを生じます。
椎間板の損傷が大きく、痛みが激しい場合、ぎっくり腰の原因となることもあります。
脊柱(背骨)は椎骨が連結して出来上がっています。
腰椎部分への負担は椎間板だけでなく上下椎骨間の関節や靭帯、筋肉などにもかかります。
つまり、筋肉に負担がかかり過ぎれば、筋筋膜性腰痛症の原因になることもあるという事です。
このように、猫背は椎間板ヘルニアの原因になるだけではなく、一般的な腰痛の原因ともなります。
さらに、猫背で腰痛のある場合は、椎間板ヘルニアを発症する可能性が高くなる。という話です。
なので、こうなる前に対策を行う方がいいでしょう。
猫背にならないように工夫をしよう
では、猫背にならなければ、椎間板ヘルニアや腰痛は防げるのではないか?
と思いますよね。
という事で、これより、猫背にならない為の工夫を書いていきます。
基本的に姿勢を良くする意識を持つ
ここまでご紹介したような、腰への悪い影響を少なくするためには、姿勢を改善する必要があります。
姿勢の改善は基本的には能動的(つまり、自分で頑張る)しか方法がありません。
姿勢矯正用具(猫背改善バンドのようなもの)の使用や背骨に対する徒手療法など、非能動的な方法もありますが、それだけでは根本的な改善には不十分です。
姿勢は自身の筋肉の活動(収縮)によって作られます。
ある程度は無意識に作られる部分はありますが、重力に抗して、理想的な姿勢を保つためには意識して、自分自身でコントロールする必要があるのです。
自分自身が姿勢を矯正するという意識を持ち続けないと、猫背を治すのは難しいです。
まずは、姿勢をよくするという強い意識が必要となることを理解しておく必要があるのです。
むしろ、正しい矯正された姿勢は、誰かに強制されている時は問題ありません。
しかし、その誰かからの強制が解かれると、また、楽な姿勢に戻ってしまうのです。
つまり、自分での意識を保たないと良い姿勢はとれません。
という事です。
で、良い姿勢とは、基本的には耳、肩、股関節、膝、足首がほぼ一直線になるように調整します。
椅子に腰かけている場合は、上半身が立位時と同じになるように心がけます。
腰かけると、背中が丸くなりやすいので、特に注意が必要です。
以上の事を意識して、猫背からの脱却を図っていただけたらと思います。
腰のストレッチをかかさない
良い姿勢を保持するためには、筋肉の活動も必要ですが、それと同時に関節の可動域、スムーズな可動性も必要となります。
関節が固く、スムーズに動かなければ良い姿勢の保持には不利となります。
脊柱(背骨)も椎骨間が関節で結合され、それぞれ可動性を持っています。
椎骨間の可動性が低下すれば、理想的な湾曲も得にくくなります。
したがって、椎骨間の可動性を高めておくことが大切となります。
特に腰椎部分の可動性は重要ですので、腰のストレッチをかかさず行うようにしましょう。
すでに長い間猫背の姿勢になっていた人は、脊柱の可動性、特に伸展(後屈・後ろに反らす)方向の可動性が低下している可能性があります。
伸展方向の可動性を増やしていくことが、ポイントとなるでしょう。
また、すでに椎間板ヘルニアの症状(坐骨神経痛など)を生じている方は、太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)が固くなりやすい(タイトハムストリングス)ので、腰のストレッチに加えて、このハムストリングスのストレッチも行っておくとよいでしょう。
ストレッチの種目や方法には様々なものがありますが、ここでは、簡単に一人で行える方法をご紹介しておきます。
ストレッチは、自分に合う、合わない、の問題もあります。
行ってみて、坐骨神経症状(足へ走る痛み、しびれなど)が強くなる場合は無理せず中止してください。
腰部のみが少し痛い程度であれば、問題ない場合もあります。
判断が難しい場合は腰痛治療(椎間板ヘルニア含む)の実績のある医師やセラピストからアドバイスを得るとよいでしょう。
うつぶせの姿勢から、上半身を手の力で起こして肘で支えます(パピーポジション)。
この姿勢がきつい場合は、まずうつぶせから開始します。
無理せず短時間から、30秒を目標に時間を伸ばしていきましょう。
この姿勢が楽にできるようになったら、次の段階に進みます。
肘を伸ばした姿勢を保持してみましょう。足へのしびれが出る場合は中止してください。
椅子に腰かけて、骨盤を倒した位置から起こす運動もお勧めです。
デスクワークの途中で行うこともできます。
骨盤を起こした時に胸を張るようにしましょう。
まとめ
今回は、猫背と椎間板ヘルニアについてお伝えしました。
猫背のような姿勢は、理想的な姿勢と比較すると腰椎への負担が大きくなります。
負担が大きくなることで、椎間板の損傷を招く場合もあります。
椎間板が損傷すれば、損傷した部分から髄核が飛び出す椎間板ヘルニアを引き起こしてしまう可能性も高くなります。
また、腰椎への負担は、椎間板以外の組織へもダメージを与え、腰痛の原因となることもあるのです。
このように猫背は腰部への負担を増やして、腰の障害を引き起こす原因となります。
猫背を改善することで、腰部障害の危険性を低下させることができますので、腰部のストレッチを行いながら、常に意識して姿勢改善に取り組むとよいでしょう。
姿勢の改善は継続した努力が必要です。
途中であきらめずに対策を続けていただければと思います。
もし、猫背で腰の骨が変形していたとしても、できる範囲での良い姿勢を意識するだけでもいいでしょう。
本日も最後までありがとうございました。