こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰の痛みを主にした治療法として、
【マッケンジー法】というのがあります。
マッケンジー法は、ニュージーランドの理学療法士によって考案された、世界的にも効果が実証されている治療手技です。
この手技は腰痛改善の方法として有名ではありますが、椎間板ヘルニアに対しても効果があるという評価を受けています。(実際には、腰痛以外にも、首痛、肩痛、膝痛、足痛など全ての関節の痛みに応用できます。)
しかし一方で、効果がなかった。
という声を聴くこともあります。
そこで、
今回は
【ヘルニアとマッケンジー法】
というテーマで記事にしました。
その中で、
- ヘルニアにマッケンジー法は効果ある。という説
- マッケンジー法ってなにか?
- ヘルニアは腰と首のヘルニアがある
といった3つ観点も含めて紹介しています。
その中で、
マッケンジー法を実施する上での注意点も説明しています。
ですので、
安全に読み進める事ができるようにしています。
この記事を最後まで読んで、
ヘルニアにはマッケンジー法は効果があるんだなぁ。
と共感、納得して頂けたらうれしいです。
是非、最後まで読んでください。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。
1 ヘルニアに、マッケンジー法は効果ある。という説
まず、マッケンジー法が、椎間板ヘルニアの治療に効果的であることについて話していきます。
また、それとは反対に、
効果がないと言われることがある理由についても考えていきたいと思います。
1-1 マッケンジー法がヘルニアに効果がある。という理由について
マッケンジー法の本質は、正確な評価に限ります。
あなたに適した治療方法を見つける作業が優れているのです。
つまり、
という、
『これ』を見つける作業がマッケンジー法なのです。
なので、
マッケンジー法によって、あなたの症状を治すであろう運動方法が見つかれば、それを行う事で、症状は改善しますよね。
っていう事です。
したがって、
あなたに適した運動方法をみつけるための作業工程が、緻密であり、かつシステムになっているので、システム通りに進めていけば、最後には完成(完治)しますよね。
という流れです。
マッケンジー法はこの作業工程の事を言います。
なので、
ヘルニアだけでなくても、すべての痛みに応用できる方法なのです。
このことから、マッケンジー法はヘルニアに効果がある。
という事が言えるのかなあと思うのです。
背骨を構成する椎骨と椎骨の間には、クッションの役割を果たす椎間板が挟まれています。
断面を見ると、椎間板の中にゲル状の髄核(ずいかく)があるのがわかります。
髄核は、例えると、アンパンの中のあんこです。
- アンパンを上から均等に押しつぶすと、あんこも均等につぶれますが
- 片側を押すとあんこが反対側に移動しますよね。
さらに強く押すとパンが破れてあんこが飛び出しそうになります。
これは、想像できるでしょう。
押されたあんこが片側(背骨の後ろ側と考えます)に移動しています。
椎間板ヘルニアは、このあんこの現象と一緒で。
あんこが移動するように、髄核も圧が加わると移動してしまうのです。
そして、
圧が加わり、髄核は背骨の後ろ側に向かって移動することによって、後方の神経が圧迫されてしまい、ヘルニアが起こってしまうのです。
しかし、
アンパンのパンの部分が破れていないのであれば、あんこが移動した側に力を加えれば、あんこを中心側に押し戻すことができます。
そうする事で、
あんこはまた、中心にもどるので、元に戻りますよね。
という意味あいです。
マッケンジー法の中の一つで、腰を反らす姿勢は、椎間板の後方に圧迫を加えることで、あんこを戻すように髄核を移動させることができると考えられます。
なので、
腰を後ろに反らす動作は腰痛には有効である。
というのが言えるのです。
また、
髄核を押し戻す際は慎重かつ丁寧に行う必要がありますので、うつ伏せから開始して、肘立て位、両手で支える姿勢まで、症状を見ながら段階的に行いましょう。
1-2 マッケンジー法でも効果のないヘルニアもある
ここでは、効果がない場合を紹介したいと思います。
先程のアンパンで例えてみましょう。
あんこがパンの中にある場合は上手くいきましたが、あんこがパンを突き破って出てきてしまったらどうでしょう。
椎間板で言うと、椎間板繊維輪の亀裂から髄核が飛び出した状態です(穿破脱出型)。
こうなると、パンを上から押したところであんこは元に戻りませんよね。
むしろパンを押すことで、さらに中身が飛び出してしまうかもしれません(悪化させてしまう)。
したがって、
腰を反らす運動が逆効果になる場合があると言えるのです。
ただし、
このことでマッケンジー法が否定されるべきではありません。
マッケンジー法を正しく学んでいる認定セラピストは、このようなことを理解していますので、症状を悪化させる伸展運動を行いません(検査は行います)。
マッケンジー法では、評価を行って正しい運動方向を決めますので、悪化する方法を採用することはないわけです。
時々、
マッケンジー法によって悪化したということを聞くことがありますが、
これは、マッケンジー法が正しく行われなかったからということになります。
椎間板ヘルニアとマッケンジー法を正しく理解していないと、間違いを生じてしまいます。
是非、この事を頭にいれおいて欲しいと思います。
ここでご紹介した、
マッケンジー法の効果が無いと考えられる例(髄核が完全に飛び出した型)は、免疫反応でヘルニア部分が分解・吸収されやすいと言われています。
したがって、
症状が重度でなければ、手術をせずに数か月の間に改善する可能性があります。
また、
ここで紹介した例ではありますが、あんこがパンを突き破ってしまった状態でも、マッケンジー法では評価をして、確認をします。
危険要素がなければ、どんな状態の人にでも、まずは、試してみる。
そして、
効果・反応を確かめてみる。
という作業は行います。
なので、
実際に試してみないとわからないので、初めから効果がない。
と決めつける事はしません。
このように思って欲しい次第です。
2 あれ、?でもマッケンジー法ってなに?
そもそも、マッケンジー法ってなんなの?
って思いますよね。
ここでは、マッケンジー法について紹介していきます。
マッケンジー法は、ニュージーランドの理学療法士「ロビン・マッケンジー」が、1950年代に考案した方法です。
その方法の出発点は、腰を反らす運動を元にした腰痛治療でした。
2-1 マッケンジー法の特徴について
腰痛に対して、腰部の伸展(反らす)運動を取り入れたことに特徴(表面的な特徴)があります。
その当時は、腰痛に対して腰を反らす動作(伸展運動)は行っていなかったようなので、画期的な方法だったのかもしれません。
で、
この特徴が前面に出すぎたため、マッケンジー法=腰の伸展運動のような誤解を生じてしまったようです。
しかし、
腰を反らす運動がマッケンジー法ではありません。
この部分は強く認識してほしい所です。
で、マッケンジー氏が発見したのは、
「良い反応が得られるものを治療に活かし、悪い反応の起こるものは避ける」
という考え方です。
マッケンジー法の特徴
★問診と科学的な検査(反復運動検査など)を行う
★一定の基準、ルールに基づいて評価、分類、マネジメント、予防までを行う
★良い反応を採用し、悪い反応を避ける
★腰痛だけでなく、首や手足などにも対応している
★安全性が高い
★自己管理ができるようにする
といった点でしょうか。
是非、参考にしてください。
2-2 マッケンジー法は自主トレが基本
マッケンジー法では認定セラピストによる、検査・評価を行い、適切なエクササイズを選択します。
その中で、実施するのは本人です。
自主トレを基本としてマネジメントを行いますが、必要に応じてセラピストの徒手的な手技を用いてアシストする場合もあります。
毎日5~6セットのエクササイズを行ない。
日常的に姿勢をコントロールすることで事故管理を行っていきます。
症状が改善した後も、必要最小限の方法を取り入れて予防を行います。
このように、
本人自身が自己管理できるようになってもらうのが、目標にもなります。
3 ヘルニアは腰と首のヘルニアがある
椎間板ヘルニアは腰部で起こることが多いです。
特に腰椎下部(L4~5間など)は好発部位となります。
上半身を支え、腰を曲げる姿勢も多いため、腰椎下部には大きな負担がかかるのです。
腰椎の次に多いのは頸椎です。
首は動く範囲が大きく、重い頭を支えていますので頸椎にかかる負担は大きいものとなります。
頸椎下部に起こることが多いです。
首も腰も、背骨の構造的に下部組織にヘルニアが起こりやすいのです。
なので、
日常生活上の姿勢の悪化や、職業上の姿勢や運動によって、椎間板に異常な力がかかる場合があります。
このような悪条件や、遺伝的な要因も重なって発症につながっていると考えられます。
頸部でヘルニアを生じると、神経根・脊髄両方を圧迫する可能性があるため、手の痛みやしびれだけでなく、下肢に脊髄症状が出ることもあります。
頸椎の椎間板ヘルニアに対してもマッケンジー法は有効です。
正しい方法で行われれば、症状が改善する可能性も多いにあるでしょう。
また、
椎間板ヘルニアは胸椎でも起こる可能性はありますが、可動性が少ない部位であるなどの理由でヘルニアの発症は少ない傾向にあります。
なので、
悪化させることは基本的にないと言えます。
むしろ、
悪化するのであれば、悪化する前に中止するか、その運動方法を辞めます。
もしも悪化したという事実があるのならば。
それは、
治療者が患者さんへの伝え方が間違っていた。伝わっていなかった。
などいった点やマッケンジー法について理解していない人が、間違った方法で行った結果だと言えます。
正しいマッケンジー法は、規定の講習を受けて修了認定試験に合格した認定セラピストによって提供されます。
正しい知識を持たない施術者が実施した場合や、自己判断で間違った自主トレを行った場合などには、効果が得られない、悪化するなどの結果に結びつくことがあるでしょう。腰痛には、腰を反らす運動が良い。というのを聞いたからと言って、ヘルニアや腰痛に対して、全て腰の伸展運動をすることは、危険要素もあるので、辞めた方がいいでしょう。
マッケンジー法は腰部の伸展(腰を反らせる動作)ではなく、反対の屈曲運動(腰を丸める動作)を採用することもあります。
正しいマッケンジー法とは、緻密な評価、検査、問診によって、完成されるものである。
というのを理解して頂けたらうれしいです。
正しいマッケンジー法を行ってみたい方は、認定セラピストが常駐する病院などで治療を受けることをおすすめします。
5 まとめ
今回は、椎間板ヘルニアに対するマッケンジー法についてお伝えしました。
マッケンジー法は正しく行われれば、安全で効果的な治療法です。
椎間板ヘルニアに対しても効果を発揮します。
ただし、
ヘルニアの状態によっては著効が得られない場合もあります。
しかしマッケンジー法では、
悪い反応が出るエクササイズを行いませんので、悪化の可能性は低いと言えます。
マッケンジー法は、その理論・手技について正しく学んで行われるべきものです。
あなたのヘルニアの症状がマッケンジー法によって、改善・軽減に繋がれば嬉しいです。
本日も最後までありがとうございました。
次の記事もよろしくお願いいたします。