こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
高齢になると、腰が痛い、膝が痛いなど痛みの訴えが多くなります。
特に腰痛は、加齢による影響を受けることが多く、高齢者に多く見られます。
どうして高齢になると腰痛が酷くなるのでしょうか。
といった所で、今回は【加齢と腰痛】の関係をテーマにしました。
◎ 高齢でも腰痛にならない人がいる。という事実を知って、腰痛にならない人もいるんだなぁ!といった事実を知って、あなたも腰痛にならないように、努力できる糧として、役に立てる事ができます。
最後まで読んで参考にして欲しいと思います。
そもそも、高齢者は姿勢も骨も弱いので、腰が痛くなりやすいのは当然ともいえる。
人は老化します。
これは、例外なく誰でもです。
現代の科学技術をもってしても、この老化を止めることはできません。(現段階では、当たり前ですが・・・)
人は細胞から構成されていますが、この細胞には分裂できる回数に制限(ヘイフリックの限界と言う)があったり。
正常な細胞として活動できる期間に限度があります。
細胞は分裂回数の限界が来ると老化が始まります。
老化が始まると細胞の機能が低下してきます。
身体機能の面からみると、筋力低下や運動機能が衰え、骨は密度が低下して強度が下がり脆くなりやすくなります。
その他、内臓器官や呼吸能力など、多くの機能低下を生じ始めます。
筋力が低下すれば、姿勢の維持が難しくなり、姿勢が悪化すれば、腰への負担が上昇します。
当たり前ですよね。
そして、骨の状態は、変形して神経圧迫の原因となってしまう可能性も高くなるのです。
さらに、椎間板などは、比較的若いうちから老化するので、水分量や弾性の低下を増々生じさせます。
このように、老化は筋骨格系の機能低下など、多機能の低下を引き起こし、それに伴って組織の損傷、神経への刺激が起こってしまいます。
特に腰部は負担のかかる部位であるため、損傷を起こす機会が増えます。
これらのような理由から、高齢者は腰痛になってしまうことが多くなると言えます。
したがって、加齢によって腰痛を生じるのは、ある意味において当然のこととも考えられるのです。
高齢者に多い腰痛を紹介
腰痛の原因には様々なものがありますが、特に老化が影響しているものについてご紹介します。
変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
名称から想像できると思いますが、腰椎が変形するものです。
椎骨の変形によって痛みを生じます。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
脊髄(馬尾神経)の通り道である脊柱管が狭くなるものです。
神経が圧迫されるなどして、痛みやしびれ、歩行障害などを生じます。
上記、変形性腰椎症から脊柱管狭窄を生じることも少なくありません。
腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ)
これは骨のもろくなりやすい女性に多い骨折ですが、この骨折によって腰痛を起こします。
骨粗鬆症がある場合、転倒などによって比較的高い確率で発生しやすくなります。
骨折部位の治癒がうまくいかないと、長引く腰痛の原因となることがあるのです。
高齢でも腰痛にならない人もいる。
加齢によって細胞は老化し、機能低下を生じますが、この部分には個人差が存在します。
この個人差には、生まれてからの生活環境によって生じる部分と遺伝子レベルで生じる部分があります。
いずれにしても、この個人差によって、腰痛の生じやすさに違いが生まれます。
なので、同じ年齢でも腰痛が起こりやすい人とそうでない人がいるということになります。
でも、これって、当たり前ではないでしょうか。
人は個人差があるし、生まれ育ってきた環境が違います。
なので、個性が生まれるわけであって。
高齢だからといって、誰でも腰が痛くなる。
というわけではないのです。(まぁ、当然の事だとは思うのですが・・・笑)
という事で、高齢だからといって、諦めるのではなく。
歳をとれば当たり前に、身体機能が低下することを認識して、早めに腰痛対策を行えば、腰痛を予防できる可能性はあるし、可能です。
と、捉えていただけたらと思います。
高齢だと背中がまがりやすいので、腰の痛みも生じやすい
かと言って、高齢になると筋力の低下を生じます。
筋力が低下すると、背中が丸くなるなど、姿勢の悪化を起こしやすくなります。
さらに、腰椎自体が変形したり、椎間板が押しつぶされ変形したりすることで、背骨が曲がることもあります。
その結果、腰が痛くなってしまう事なんて多々あるのです。
極端な例では、腰椎や胸椎の圧迫骨折をおこすと、椎骨(せぼねの一部)がくさび状につぶれることで、物理的に背中が曲がってしまいます。
背中の曲がりは、物理的に腰部への負担を増やします。
曲がり具合にもよりますが、背中が曲がることで、腰椎への負担が数十%増加する場合もあるのです。
つまり、負担が大きくなれば、筋肉、骨、椎間板などは損傷を受けやすくなり、その結果として腰痛を起こしやすくなってしまう。
といった結果です。
また、脊椎の圧迫骨折が原因で背中が曲がっている場合では、腰への負担だけでなく、骨折部位が完治していないことで痛みを生じていることもあります。
通常圧迫骨折はつぶれて固まりますが、中には骨が固まらず関節のようになってしまう(偽関節:ぎかんせつと言う)ものもあります。
この偽関節の状態は痛みを生じやすく、長く続く腰痛の原因ともなりえます。
背中が曲がっていて、腰痛が長く続いている場合、この可能性も考えておく必要がでてきます。
高齢で何をやっても、腰の痛みが変わらない場合はどうすればいいか?
病院などで治療しているのに腰痛が治らないと感じているあなたや、いろいろやってみたけど結局変わらなかったという方も少なくないでしょう。
では、ここで考えて欲しいのですが。
本当に自分に合った正しい腰痛の治療方法を試してみたのでしょうか?
という事です。
まずこの点をチェックしてみてください。
病院でホットパックや電気治療をしている、マッサージを受けている、薬を飲んでいる…。
とかいう場合であれば、これらだけでは腰痛は治りません。
•良い姿勢を意識できているか?
・腰に負担のかかりにくい動作法を習得しているか?
・生活スタイルは様式(椅子中心)か?
・必要な筋トレはできているか?
・ストレッチはしているか?
など確認してみましょう。
これらの事をキチンと行えていれば、少なからず、腰痛は軽減していく可能性が高いと思います。
つまり、腰痛を治すための治療を実戦できているのか?
という点について、見直してみて欲しいのです。
長期的に痛みが続いている場合は、痛み止めの種類を変更する(オピオイド系など)ことで痛みを抑えることができる場合もあります。
適切な投薬によって、悪循環を断ち切ることが可能になることもあるので、医師へ相談することも良い方法でしょう。(しかし、投薬に頼りきるのは良くありません。あくまでも一次的に痛みを断ち切りたい。という場合のみ投薬を使う。という意識がいいでしょう。)
また、考えられるすべての対策を行っても痛みが改善しない場合も残念ながらあります。
保存療法(手術をしない治療方法)では限界ということもあるでしょう。
その時は、手術で治療をする事も考慮しましょう。
しかし、これは、どんな保存療法を試しても効果がなかった。
という場合だけにしてください。
あくまでも、何をしても痛みが変わらない時だけの考えとして手術を行うと、捉えてください。
「年だから仕方ない」ではすまされないような強い痛みで、日常生活が制限されたり、坐骨神経痛などの症状まで併発したりしている場合もあるでしょう。
このような場合は、手術を検討することもあります。
神経を圧迫している部分の骨を削り取り、金具などで背骨を固定し、安定化して形を整えることで症状の改善を目指す方法もあります。
近年背骨の手術は技術の向上によって、身体への負担とリスクが減ってきています。
また高齢者の体力向上も相まって、高齢での手術も可能となってきている事実があります。
このように、症状が強い場合は、脊柱管狭窄症や脊柱矯正などの手術実績を多く持つ病院(医師)へ相談することも選択肢の1つとしてよいでしょう。
しかし、手術はあくまでも最終手段として、捕えてください。
安易に手術を進められたからといって、すぐに手術を選択する事だけはやめましょう。
【実際にあった話】理学療法士からの一言
以前担当させていただいた患者さんに、背中が90°以上曲がった方がいらっしゃいました。
あまりにも曲がっているため、自宅では座って食事をとることができず、立った姿勢で食べていたそうです。
これは極端な例ですが、脊柱は変形や圧迫骨折などによって曲がっていくことが多いものです。
特に圧迫骨折では、椎体がつぶれてしまうので曲がりやすくなります。(良い姿勢を意識する事もしないので・・・)
このように圧迫骨折によって背骨が曲がることがあるのですが、この骨折は強い腰痛の原因となることがあります。
つぶれた椎体が固まって(つながって)しまえばよいのですが、時に固まらず偽関節という状態になることがあります。
このような状態になると強い痛みが長く続く原因になります。
近年、我が国でも経皮的後弯矯正術(椎体形成術、バルーンカイフォプラスティ)という手術が行われるようになりました。
つぶれた椎体部分に骨セメントを充填して、つぶれた部分をできるだけもとの形に形成するものです。
この手術を行うことで、痛みが軽減することもあるようです。
これは、背骨の曲がりを防ぐ効果もあるとの事です。
この手術は全国どこでも簡単に受けられるというわけではなく、また、だれでも受けられるというわけではありません。
一部の箇所で行っている治療ではあります。
しかし、この手術をしても症状が変わらない。
という人がいるのも事実です。
なので、良くなる可能性もあるし、良くならない可能性もある。
という程度に捉えて置く方がよいでしょう。
で、このような手術がどこでも簡単に受けられるようになれば、高齢者の難治性腰痛が少なくなる可能性もあると思います。
腰の痛みと高齢について、まとめ
人は年を重ねることで老化が進行します。
筋力の低下、骨の変形、椎間板の変性、それらに伴う姿勢の悪化、骨折等々、腰痛を起こしやすい状態になるのは自然の流れです。
このような老化が原因で生じる腰痛の場合、ある程度仕方ないものととらえる必要もありますが、対策の余地も残されています。
日常生活の改善(姿勢の改善、適度な運動)など適切な対策を行うことで、腰痛を改善できる可能性はあります。
また、保存的な対策では効果がない場合は、手術による方法も残されています。
すべての人が対象となるわけではありませんが、適応があれば手術によって長期の痛みから解放される場合もあります。
手術も念頭に置いた治療を行う場合は、脊柱管狭窄症や脊柱矯正術など脊柱の手術の実績がある病院を選ぶとよいでしょう。
という事で、高齢になるから腰が必ず痛くなる。というわけでもありません。
が、加齢に伴って、腰が痛くなりやすい。
という事は事実です。
このように捉えていただき、腰痛の予防、改善に取り組んでほしいなあと思います。
本日も最後までありがとうございました。