おはようございます。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰を悪くして病院にかかると、医師から手術を勧められることがあります。
患者さんのことを考えての医師の判断ですが、簡単に「はい」と返事をすることは難しいでしょう。
手術の技術が上がり、リスクが減ったとはいえ、やはり体を傷つけて行うものです。
それなりに危険を生じます。
さらに、入院や費用の問題もあるし、もしうまくいかなかったらどうしよう…など。
考えると、ますます不安になるでしょう。
できれば手術なんてしたくないですよね。
誰もがそう思うのではないでしょうか?
という事で、今回は、【腰の手術を勧められている。やった方が良いのかダメなのか?】というタイトルで記事にしました。
実際には、やった方が良い場合とやらなくてよい場合があります。
この見極めをする事が、とっっっっっても重要になります。
◎ 腰の手術をした方が良い場合としない方が良い場合の両方が理解できます
手術を進められているあなたの役に立つでしょう。
本日もよろしくお願いいたします。
腰の手術はアリかナシか?(した方が良いか、しない方がいいのか?)
まず、腰の手術はアリかナシか?という考えを個人的意見を盛り込んで、のべていきます。
ですので、あくまでも一つの意見として、捕えて欲しいと思います。
腰の手術は基本的にはナシ(しない方がいい)。という話
実際に手術を受けた人の中には、「手術をしなければよかった」と感じている方もいらっしゃいます。
思ったように改善しなかったなど、予想に反した結果になることがその理由の一つとなっています。
このような経験をしてしまうと、「腰の手術はしないほうがいい」「腰の手術はナシ」という話も出てきます。
例えば、手術ミスなどで症状が悪化してしまった場合などにおいては、さらに否定的なものとなるでしょう。(しかし、患者サイドで手術ミスを見つけて、訴える事は難しい分部が多いでしょう。)
もし、手術ミスが事実だとしても、医者、病院サイドはミスはなかった。
と言い切ってしまえば、それを覆すのはとても難しい現実があります。
なので、百害あって一利なしではありませんが、腰痛などの手術においては安易に行うべきではない。
という考えもあってよいのかなと思うのです。
腰の手術も場合によってはアリ(やっても良い)。という話
で、次に。
手術によって腰痛が改善する場合ももちろんあって、このような場合は「手術してよかった」という感想となります。
ただし、手術をするには、ある条件があると私は考えています。
そのある条件とは、
『もう、日常生活も辛い状態で、すぐにでもなんとかしたい!今の痛みや症状をなんとしてでも、和らげたい』
と言った場合です。
このくらい状態が辛い場合に、手術を考慮しても良いのではないでしょうか。という考えです。
というのも、腰痛体操や薬物治療では、効果を感じるのが遅い時もあります。
このような場合は、手術で痛みの軽減や改善を早く目指す。
といった考えもありだと思うのです。
という事です。
場合によっては、「こんなに良くなるのだったら、もっと早く受けておけばよかった」ということもあるかもしれません。
しかし、良くあるパターンとしては、手術直後の数カ月は症状が楽であるが、1~3年後にはまた、痛みが再発してきた。
なんていう場合もあります。
また、症状によっては手術しか治療の方法がないという状況もあって、このような場合では、手術を選択するしかないでしょう。
これらの事を踏まえて、メリットを考えれば「腰の手術はアリ」という考えもあるのです。
手術は最終手段として、考えておくべき。
手術のリスクがゼロであれば話は別ですが、リスクがある以上完全に安心することはできません。
手術を行ったことが原因で、最悪の場合、症状が悪化することもあります。(これ、意外と結構ありますよ・・・)
リスクを最小限にしようと思うのであれば、無理に手術をしないことです。
なので、どんな症状でもまずは、手術をしない治療方法で勧めるべきでしょう。
諦めなければ、きっとあなたに適した治療方法がみつかる私は思っています。
その中でも、何をしても痛みが軽減しないし、我慢できないとなれば、そこで初めて手術を考える。
という方向性が良いのではないでしょうか。
ですので、手術はどうすることもできないときに選択する最終手段として考えてほしいのです。
腰の手術で、完璧に症状がゼロになる事は少ない
腰の手術と言えば、特殊な例を除けば、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に対する手術が広く知られています。
歩行障害や坐骨神経症状が強くなった時に行われることが多いのですが、手術をしても、症状はゼロにはならないことも少なくありません。
手術をしたのに足のしびれが残っているなどはよく聞く話です。
腰の手術は効果的な治療法ではありますが、メリットだけでなくデメリットも存在します。
という事で、手術のデメリットの部分を中心にお話しします。
腰の手術は必ず体が硬くなるし(柔軟性がなくなる)、辛いと思う
腰の手術に限ったことではないのですが、手術を行うと、その部位の柔軟性が低下することが多いです。
手術をする部分には、皮膚、筋膜、筋肉などいろいろな組織がありますが、手術によって侵襲(しんしゅう:生体を傷つけること)が加わります。
侵襲を受けた組織は回復する過程で、固くなったり、組織が癒着したりするなどの異常を生じ、柔軟性が低下します。
これには個人差もありますが、体質的に固くなりやすい人もいて、かなり動きが悪くなります。
膝などの関節の手術をするとわかりやすいのですが、正座ができなかったり、自転車をこぐことができなくなったりすることもあるでしょう。
腰(腰椎)も関節によって連結されているので、手術をすることで腰椎部分の関節の動きが固くなり、前屈、後屈、側屈、回旋などの腰部の動きが制限されるようになります。
なので、手術の術式にもよりますが、柔軟性に影響が生じるのは間違いない事実と言えるでしょう。
日常生活に制限が生じてしまう
そして、柔軟性が低下することによるデメリットには様々なものがあります。
早速、例を挙げてみましょう。
腰が曲がりにくくなることで、靴下の脱ぎ、履きが行いにくくなる。
同様に、足の爪切りなどがしづらいなどの制限されるでしょう。
体を曲げる以外には、捻る動作の制限によるデメリットもあります。
自動車の運転時に後方確認がしにくくなったりとか。
バックするときなど、体をひねって後方を目視で確認するのが行いにくくなるでしょう。
現代ではカメラでの確認もできるようにはなってきていますが、目視も必ず必要ですよね。
これらは一例ですが。
このように、体の柔軟性の低下は、日常生活上で不都合を生じる機会が多くなります。
リハビリを行うことで、柔軟性が回復する場合もありますが、腰椎の固定術(金具での固定)などを行っている場合は改善に限界があり、元のようには動きません。
スポーツが日常の生活の一部になっている人にとっては、手術によってその活動が中断されたり、不可能になってしまったりすることもあるでしょう。
もちろん手術後にリハビリを経てスポーツに復帰を果たした人もいますので、上手くいけば再度スポーツ復帰できる可能性はあります。
しかし、手術した全員が上手くいくとは限りません。
このように、手術によって日常の生活に制限が生じてしまう可能性があることについては、十分に理解してほしいです。
手術って50%しか良くならないらしい。という噂
腰の手術の上手くいく確率は50%などと言われることがあります。
この50%が意味するものは、技術的な成功率ではありません。
医療的に、手術式は100%成功していても、結果は良くなるか悪くなるか、五分五分という意味です。
つまり、痛みが軽減するか、改善するか、変わらないか、悪化するかは50%である。
という事です。
ある一例として、腰の手術ではなかったのですが、友人の親族が外科手術を受けました。
手術にミスはありませんでしたが、術後に意識状態が悪化し亡くなったとの事です。
これは極端な例ですが、手術は完璧に成功していても、悪い結果に終わることもあるのです。
さらに、失敗というものもあります。
手術も人がすることですので、訓練や経験を持つ医師が行ったとしてもミスする可能性はゼロではありません。
実際に、間違って目的とは違う場所を切ってしまったなどのミスを聞くこともあります(これがどれくらいの頻度であるのかはわかりかねますが、100%ミスはしない、なんていう事はありえないでしょう。)
で、患者さんのリハビリをしていると、手術していなければとか。
その反対に、もっと早く手術していれば良くなっていたのかなぁ~なんて感じることもあります。
これは、どちらも結果論なのですが。
うまくいくかどうかは結果が出るまで分かりません。
手術には運命に懸けるような側面もあるように感じます。
間違いなく言えることは、手術の必要のない時期から、真面目に予防対策(保存療法)を行うことです。
なんの対策も行わず放置していれば、状態は悪化し手術しか方法がないという状況になる可能性があります。
何とかなるだろうではなく、何とかするという意思を持つことです。
そして、しっかりと予防対策を行い、できるだけ手術をしないでもいいような状態へ持っていくことが大切だと感じます。
最終的に手術しか方法がないというような状態になった場合は、術式とそのリスクについて十分に理解して選択することです。
術式によってリスクは異なります。
できるだけリスクの低い方法を選択するとよいでしょう。
そのためには、病院や医師を探す努力を惜しまないことです。
その後の人生にかかわることなので、この辺りはしっかりと取り組んでいただけたらと思います。
腰の手術について、まとめ
今回は腰の手術について、主にデメリットを中心にしてお伝えしました。
手術による治療は、もちろん効果が望めるものですが、完全には治らなかったり、状態が悪化したりすることもあります。
こればっかしは、やってみないとわかりません。
手術によって症状はある程度治まっても、腰の柔軟性が低下するなどして、日常生活が不自由になることもあります。
このように、手術は良いことばかりではありません。
今回一番伝えたい事は、極力、手術以外の方法で良くしようと考える。
という事です。
やはり、手術は百害あって一利なしの側面もあります。
ですので、もし、手術を勧められたとしても、セカンドオピニオンや他の治療を試してみる。
という事はしてみてもいいんじゃないのかなぁ。
と思うのです。(あ、あくまでもこれは、腰痛疾患を中心に述べた場合になります)
心臓疾患や生命の危険がある場合は、素直にお医者さんの意見を聞く必要もあると思うので。
なんにせよ、手術による方法は、最終手段と考えておいた方がよいでしょう。
できるだけ手術を避けるために、早期から自分の腰の状態を把握して、適切な対策を継続的に実施することが大切だと思うのです。
今回の話があなたの役に立てば幸いです。
本日も最後までありがとうございました。