こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰の痛みは一般的に「腰痛症」などと呼ばれ、ひとくくりにされることが多いのですが、その理由・原因には様々なものがあります。
背骨や内臓由来のものから、原因が特定できないものまでいろいろです。
今回は、この腰痛の理由についてお伝えします。
◎ 腰痛の理由について知る事ができて、予防や対策を立てる事ができる
といったメリットがあります。
最後まで読んで、腰の痛みの原因について、理解に役立てていただければ幸いです。
では、宜しくお願いいたします。
腰の痛みの理由を紹介する
痛みは、何らかの原因があって生じます。
したがって、腰の痛みにも理由があります。
ここでは、腰痛の原因について具体的な疾患名なども挙げながらご紹介していきます。
整形外科的なもの(骨・筋肉など)
骨や筋肉、椎間板などを傷めたり、組織に炎症が起きたりして痛みが起きます。
ほとんどの腰痛が、この整形外科的な分類に当てはまるでしょう。
腰は、活動に伴って大きな力がかかり、常にストレスにさらされた状態になっています。
その結果、腰椎周囲の筋肉を傷めたり、背骨間の関節に炎症を起こしたりすることがあるのです。
激しいスポーツでは、背骨が骨折を起こして分離してしまうこともあります。
また、物理的なストレスだけではなく、加齢の影響もあります。
背骨と背骨の間にある椎間板は比較的若いときから変性が始まり、弾力を失っていきます。
背骨は高齢になると脆くなり、変形を起こしやすくなります。
変性が進むことで、椎間板に亀裂が入るなどの損傷が起こり、腰痛や椎間板ヘルニアの原因となることがあるのです。
このように、物理的な負担や加齢は腰痛の主な原因と考えられています。
また、近年では精神的なストレスと腰痛との関係性に注目されていて、ストレスによって慢性腰痛を生じる可能性があるとも言われています。
腰痛を生じる疾患について主なものをご紹介しておきます。
比較的若い人に多いのは、筋筋膜性腰痛症、椎間板ヘルニア、腰椎分離症などで、高齢になると変形腰椎症、脊柱管狭窄症などが見られます。
- 筋筋膜性腰痛症
- 腰椎椎間板症
- 腰椎椎間関節症
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎分離症
- 腰椎すべり症
- 脊柱管狭窄症
- 変形性腰椎症
- 脊椎炎
- 脊柱靭帯骨化症
- 骨粗鬆症
- 仙腸関節炎
- その他
といった診断名があります。
参考程度に覚えておいて欲しいと思います。
整形外科以外のもの(内科疾患など)
腰痛であると感じていても、実は腰ではなく内臓から生じる痛みであったり、血管から起こる痛みであったりすることもあります。
腰痛全体から見た割合は小さなものですが、状態によっては緊急を要することもあります。
- 発熱や吐き気
- 血尿を伴っている
- 痛みが移動する
- 体の動きに関係のない痛み
など。
普通の腰痛とは違った異常を感じるときは速やかに受診することをおすすめします。
- 腎臓、尿管結石など泌尿器の疾患
- 子宮内膜症などの婦人科系の疾患
- 膵臓などの消化器の疾患
- 動脈瘤など血管の病気
- 心因性のもの
- その他
上記に疑いがあったり、思い当たる節があれば受診するといいでしょう。
腰の痛みは理由を特定できるのか?できないのか?
未だ腰痛の8割以上(85%など)が、理由を特定できない非特異的腰痛と呼ばれることが多いようです。
しかし、研究者によっては約80%の腰痛は特定できるという結論を導き出しています。
このように一定しない特定率には理由があります。
ここでは、腰痛の原因を特定できる場合とできない場合について、その理由や具体例をお伝えします。
理由を特定できる腰の痛みについて
一般的に臨床の場面では、医師は多くの患者さんを抱えていて、短時間に効率よく診察を行わなければなりません。
腰痛であれば腰のレントゲン撮影をして…というのが一般的かもしれません。
足にしびれなどの神経症状があれば、MRIなどの検査が追加されることもあるでしょう。
このように、画像による検査を行って、明らかに骨の変形があったり、椎間板がつぶれていたり、ヘルニアが見つかったりすれば、腰痛の原因は特定しやすくなります。
また、内科的なものであれば、尿管に結石が見つかるなども、明確にわかる例として挙げられるでしょう。
このように、一般的な画像の検査などで明確にわかるものは特定される腰痛となります。
さらに多くの検査を加えていくと、特定されるものは増えていきます。
例えば、通常の画像検査ではわからない椎間板の損傷が、椎間板造影で発見されることもあります。
仙腸関節の原因を疑えば、仙腸関節のテストを行うことで、腰痛と感じていたものが仙腸関節の問題であることが、わかることもあります。
臀部の筋肉の硬さによる痛みが腰に生じている場合もあります。(臀部の筋硬結)
診察に多くの時間と検査技術を使えば、特定されるものが増えるという結論となります。
このように、精密な検査を行うことで原因特定率を上げることは可能です。
しかし、臨床の現場で、腰痛の原因をどのレベルまで知る(特定する)必要があるのか?
という問題もあるでしょう。
時間的な問題、患者さんの負担(身体的、精神的、経済的)を考慮すれば、必要以上に追求せず、必要最低限で済ませることも現実的であると考えられます。
理由を特定できない腰の痛みについて
一般的な臨床(外来)で行われる検査で、異常が見つからなければ、原因を特定できない腰痛の分類に入ります。
腰椎椎間板症や急性腰痛症などの診断名がついているものがそうです。
画像検査を行っても異常が認められない場合、「特に異常はないようです」という診断で終わる場合もあります。
細かな筋肉の損傷や関節の炎症などは、画像で確認することはできませんし、それ以上の深い検査の必要性についても低いと判断されれば「腰痛症」として扱われることとなります。
先にお伝えしましたが、腰痛を感じていても、原因がおしりの筋肉や仙腸関節にある場合もあって、このような場合、原因を見逃される可能性もあるでしょう。
このように、一般的な検査では原因がわからない場合、原因を特定できない腰痛を非特異的腰痛となるのです。
そもそもなんで、人間は腰痛になるの?という疑問
「人間は二本足で歩くようになったので、腰痛を起こすようになった」ということは良く聞くことです。
しかし、人間以外の動物を見てみると、犬などでも腰痛は起こります。
また、腰椎椎間板ヘルニアなどは人間の病気のようですが、これもまた犬でも見られます。
このように四本足で移動する動物においても腰痛を発症しています。
単純に考えると、四本足の場合、上半身の重量を前足でも支えていますので、それだけ腰への負担は少なくなると言えます。
椎間板に加わる垂直方向の力は、二本足で立った場合よりもかなり小さくなるはずです。
一方、人間の場合は二本足で体重を支えますので、腰への負担が大きくなると予想できます。
立っているので、椎間板には垂直方向の圧縮力も加わわります。
前かがみになる動作や、物を持ち上げる動作はさらに腰部への負担を上昇させます。
このように、二本足で活動する人間の場合、物理的に腰部への負担がかかりやすい状態となっています。
したがって、人間は腰痛を起こしやすい動物だということがいえるのです。
さらに、人間は生活様式によって、様々な動きをします。
長時間座ったり、長時間立ったり、走ったり、捻ったりと。
沢山の活動をする中で、腰に負担を与えてしまう動作も多い事が考えられます。
そして、感情も持っているのが人間です。
ストレスを感じやすいのも影響しているでしょう。
このように人間は腰を痛める可能性の要素を多く含んでいる。
という事が言えます。
まとめ
腰痛の原因には、背骨や筋肉、内臓、ストレスなど様々なものがあります。
臨床の場面で、この腰痛の原因について特定されるのは15%程度で、残りは原因の特定できない非特異的腰痛と言われています。
腰痛の多くは、腰部への物理的なストレスや加齢などの要因が加わることで生じています。
二本足で歩く人間は、活動に伴う腰部への負担が大きいことを特徴として持っていますので、特に腰痛を生じやすいと言ってよいでしょう。
原因の特定できないいわゆる腰痛症は、命にかかわることは低いですが、日常生活を苦しめるのは間違いないでしょう。
内科疾患などが原因の腰痛では緊急を要することもあるため、腰痛に対する正しい知識を持っておくことが必要です。
腰痛の理由には原因が特定できる疾患もあれば、できない疾患もある。
このように思いながら、もし、あなたが腰が痛くなってしまっても。
一先ず治療を施してみましょう。
原因がわからなくても、良くなる可能性は多いにあります。
今回の話が少しでも参考になれば嬉しいです。
本日も最後までありがとうございました。