こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
ぎっくり腰の時にコルセットをした方が良い。って言われた事はありませんか?
きっとあるでしょう。
むしろ、コルセットをした方が痛みがなくなる。
とか、コルセットをした方が良くなる。
みたいに言われた事はありませんか。
コルセットは、使い方次第で良い物にもなるし、悪い使い方だと悪化する恐れもあるのです。
そこで、今回は、ぎっくり腰にはコルセットは必要なのか?
というテーマで記事にしました。
この記事を読めば、
◎ ぎっくり腰にコルセットは悪化する場合がある。事を知れる
◎ コルセットの使い方について知る事ができる。
といったメリットがあります。
さらに、間違ったコルセットの使い方やデメリット・コルセット使用のタイミング等についても解説します。
ぎっくり腰でコルセットを検討しているあなたの参考になれば幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。
ぎっくり腰でコルセットに頼ると悪化する理由とは。
コルセットを使用するデメリットについてご紹介します。
ただし、コルセットはメリットもあるので、正しい使い方をすればデメリットは気にならず使えます。
コルセットに依存してしまう(コルセットがないと怖い。という精神になってしまう)から
ぎっくり腰は激痛を伴い、動くことが出来なくなることも多いため、再発に対して多かれ少なかれ恐怖心を持ってしまいます。
恐怖心がなければいいですが。
ぎっくり腰のためにコルセットを使うと、コルセットに守られている感じを受けます。
さらに、安心感を得るので、コルセットを手放すことが出来なくなることがあるのです。
これは、コルセット依存の状態です。
恐怖を回避しようとする心の動きは「恐怖回避思考」と呼ばれ、腰痛回復にとってのマイナス要因となることが分かっています。
ぎっくり腰(原因の分からない腰痛=非特異的腰痛)になったら、必要以上に心配はしないで大丈夫です。(対策は必要ですが)
とにかく、日常生活上の動作を早めに開始する方が、腰痛の回復が良いということが分かっています。
コルセットに依存せず早めに自立した生活を送るように心がけましょう。
コルセットは一時的なもの。腰の柔軟性を低下させてしまうから
一般的な腰痛用のコルセットは、一時的な利用が大前提で作られている事が多いです。
長期間の連続使用は推奨されません(※)。
コルセットの形状、幅、材質、締め具合等によって異なりますが、固定力の高いコルセットをしっかり締めると、腰部の可動性が制限を受けます。
腰の可動性が制限された状態で長期間経過すると、関節の動きが悪くなったり、筋肉が硬く、短くなったりする場合があります。
腰の柔軟性が低下したら、さらに腰の痛みは強くなるでしょう。
※腰椎圧迫骨折等、一定期間連続して装具装着が必要な場合もあります。
腰の筋力がなくなって、良い姿勢を保つ事もできなくなるから
固定力のあるコルセットをしっかりと締めると、コルセットの機能によって、ある程度脊柱が支えられます。
なので、筋力を使わないようになってしまいます。
通常、姿勢の維持には持続的に筋力を使う必要があるのですが、コルセットを使用することで筋肉を使わなくなってしまうのです。
筋力を使わないと、筋力は低下していきます。
そうなると、良い姿勢を保つことが難しくなってしまい。
姿勢を良くする為に、さらにコルセットに頼ってしまう。
といった悪循環になってしまう可能性があります。
しかし、コルセットを使ってはいけない。という訳ではない。
コルセットのデメリットをご紹介しましたが、コルセットを使ってはいけないという訳ではありません。
コルセットは装具療法という治療法の中に分類されるもので、腰椎装具に分類されます。
歴とした治療法ですので、コルセットは正しい使用法を守れば、効果を顕すものです。
特に骨折や手術後においては、腰部を固定するために必要不可欠という場合もあります。
「コルセットを使ってはいけない」のではなく、「間違った方法で、コルセットを使わないようにするべき」ということがいえます。。
コルセットはつかうタイミングが大事
コルセットのデメリットを少なくして、本来の機能を発揮させるためには、コルセットを使用するタイミングが重要です。
先にお伝えしましたように、長期間常時装着するものではありません。
なので、必要な時に使用するのが一番効果があって、適切な使い方となります。
以下にコルセット使用のタイミングとポイントをお伝えします。
【重量物などを持ち上げるとき】
物を持ち上げて運ぶ、介護で移乗介助するなどの動作は腰への負担が大きくなります。
仕事として行っている場合は、業務中コルセットを装着しておいても良いのでしょう。
しかし、特に負荷がかかるときにしっかりと締め、それ以外の負荷が少ない仕事の時は外すか緩めるなど、メリハリをつけた使用をすると良いでしょう。
【中腰での作業などを行うとき】
中腰での作業も腰への負担が大きくなります。
できれば、このような姿勢での作業は避けた方が良いのですが、仕事などでやむを得ない場合もあるでしょう。
姿勢に無理のある場合、姿勢が悪くなりがちな作業などを行うときは、コルセットをしっかりと装着することで、腰への負担を若干軽減することが出来ます。
特に負担を感じる時に使用し、それ以外では緩めるか外すようにするのがポイントです。
【過度の体幹の動き(腰の屈伸等)を伴う時】
わかりやすい例ではスポーツが挙げられます。
バレーボールなどで比較的多く見られますが、背中を反らす動きが反復して行われる場合などでは、コルセット(スポーツ用)によって、動きを制限することで腰への負担を軽減できることがあります。
この場合も練習や試合の時だけ使用するようにして、それ以外の場面では使用しないようにすると良いでしょう。
【よくある質問】
Q.寝ているときはコルセットをつけても良いのか?
A.装着したらいけないということはありませんが、腰痛に限って言えば、寝ているときに装着する必要はありません。
寝ているときに腰椎にかかる負担は立位の約25%程度と言われています。
腰部に負担のかからない状態なので、コルセットを締めて寝ることはデメリットが大きいと考えられます。
骨折や手術後などでは、就寝中も装着が必要になることがありますが、腰痛ではむしろリラックスできる状態にした方が良いでしょう。
日常生活動作時の痛みもない状態であれば、コルセットを卒業しても良いでしょう。コルセットに依存しないような心構えが必要です。
数人の理学療法士の意見・考えをまとめた話
まずウェイトトレーニングをしている人の話をします。
重量挙げやウェイトトレーニングを行っている人を見ていると、選手が腰に幅の広いベルトを装着しているのを見た事はありませんか。
あれも、今回話題としている腰のコルセットと同じ効果があります。
強めにしっかりと締めることで、腹圧を上昇させて、脊柱だけでなく体幹全体を1本の太い軸にしている。
というようなイメージが適当でしょうか。
実際にあのベルトは効果があって、怪我の予防やパフォーマンスアップにつながります。
1人の理学療法士がウェイトトレーニングを行っていた時は、腰ベルトは必ずつけていたとの事です。
なので、間違いなくベルトの効果はあると感じています。
ということで、重量物を扱う仕事をしている方は、市販のコルセットだけではなく、ウェイトトレーニングやリフティング用のベルトも選択肢にいれても良いのではと思ってしまいます。
コルセットは正しい位置に、しっかりと装着することで効果を発揮します。
コルセットを装着している人と接していて、よく目にするのが締め不足です。
苦しいからとか装着感が悪いなどの理由を聞きますが、コルセットは若干窮屈さを伴うものです。
緩くて苦しさの全くないコルセットはその機能を発揮することができません。
もし装具の一部が皮膚に当たって痛みが出ているのであれば、修正などの加工が必要となりますが、締めて窮屈なのは仕方がないことです。
せっかく使用するのであれば、必要な時はしっかりと締め、本来の機能が得られるようにしましょう。
まとめ
今回はぎっくり腰とコルセットについてご紹介しました。
コルセットは適正な使用で効果を発揮しますが、腰痛(ぎっくり腰)に漫然と使用した場合、デメリットを生じることもあります。
ぎっくり腰などの腰痛は、早めに自立した日常生活を行った方が回復は早くなる傾向があります。
コルセットに依存し、腰痛を避けようとする行動は、恐怖回避思考となっていることがあり、腰痛の改善を妨げます。
仕事などで腰部に負担がかかる場合は、コルセットを適切に使用することで効果を発揮することもあります。
このような場合はコルセットの使用をしても良いでしょう。
ただし、コルセットの使用は必要最小限として、日常生活ではコルセットに頼らないことが大切です。
今回の話もあなたの参考になれば嬉しいです。