「この腰の痛み、いったい何が理由なんだろう?」と気になっていませんか。
結論からお伝えすると、腰の痛みの理由は大きく分けて「筋肉や背骨など整形外科的なもの」と「内臓や血管など整形外科以外のもの」の2つがあり、さらに検査をしても原因を特定できない「非特異的腰痛」と呼ばれるものも多く存在します。
こんにちは。腰痛治療家で理学療法士の平林です。私自身も腰痛に悩んだ経験があり、理学療法士として臨床の現場で多くの腰痛の患者さんと向き合ってきました。
この記事では、腰の痛みの理由として考えられる原因や病気、原因を特定できる腰痛とできない腰痛の違い、そして受診の目安までをまとめてお伝えします。ご自身の腰痛の予防や対策を考えるヒントにしていただければ幸いです。
腰の痛みの理由は大きく2つ|整形外科的な原因と内臓などの病気
腰の痛みの理由は、大きく「骨・筋肉・椎間板など整形外科的な原因」と「内臓・血管・心因性など整形外科以外の原因」の2つに分けられます。
腰の痛みは一般的に「腰痛症」などとひとくくりにされることが多いのですが、その中身は実にさまざまです。順番に見ていきましょう。
腰の痛みの多くは筋肉・背骨・椎間板など整形外科的な原因
腰痛のほとんどは、骨や筋肉、椎間板などを傷めたり、組織に炎症が起きたりして生じる整形外科的なものに当てはまります。
腰は、日常の活動に伴って大きな力がかかり、常にストレスにさらされている部位です。その結果、腰椎周囲の筋肉を傷めたり、背骨の間の関節に炎症を起こしたりすることがあります。激しいスポーツでは、背骨が疲労骨折を起こして分離してしまうケースもあります。
また、物理的なストレスだけでなく、加齢の影響も見逃せません。背骨と背骨の間にある椎間板は比較的若いうちから変性が始まり、少しずつ弾力を失っていきます。変性が進むと椎間板に亀裂などの損傷が起こり、腰痛や椎間板ヘルニアの原因となることがあるのです。
腰の痛みを生じる主な整形外科的な病気には、次のようなものがあります。
- 筋筋膜性腰痛症
- 腰椎椎間板症
- 腰椎椎間関節症
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎分離症・腰椎すべり症
- 脊柱管狭窄症
- 変形性腰椎症
- 骨粗鬆症・圧迫骨折
- 仙腸関節炎 など
比較的若い人に多いのは筋筋膜性腰痛症、椎間板ヘルニア、腰椎分離症などで、高齢になると変形性腰椎症や脊柱管狭窄症などが多く見られます。参考程度に覚えておいていただければと思います。
さらに近年では、精神的なストレスと腰痛の関係にも注目が集まっており、ストレスが慢性腰痛に関わる可能性も指摘されています。詳しくは腰痛とストレスの関係についてリハビリのプロの見解をまとめた記事も参考にしてみてください。
内臓や血管の病気が腰の痛みの理由になることもある(受診の目安)
腰痛だと感じていても、実は腰ではなく内臓や血管の病気から生じている痛みの場合もあります。
腰痛全体から見れば割合は小さいものの、状態によっては緊急を要することもあるため注意が必要です。腰の痛みの理由となり得る整形外科以外の病気には、次のようなものがあります。
- 腎臓・尿管結石など泌尿器の病気
- 子宮内膜症など婦人科系の病気
- 膵臓など消化器の病気
- 動脈瘤など血管の病気
- 心因性のもの
そして、次のような症状を伴う腰痛は「普通の腰痛とは違うサイン」の可能性があります。
- 発熱や吐き気を伴う
- 血尿が出ている
- 痛む場所が移動する
- 体の動きに関係なく、安静にしていても痛みが続く
- 足のしびれが進行している、排尿や排便に異常がある
- 転倒などのケガの後から痛みが始まった
これらに当てはまる場合は、様子を見ずに早めに整形外科や内科など医療機関を受診してください。
腰の痛みの理由は特定できる?非特異的腰痛と言われるわけ
腰痛は「8割以上が原因を特定できない非特異的腰痛」と言われることが多い一方、詳しく調べれば約8割は特定できるとする研究者もいて、実は特定率は一定していません。
なぜこのような差が出るのか、原因を特定できる場合とできない場合に分けてお伝えします。
画像検査などで理由を特定できる腰の痛み
レントゲンやMRIなどの画像検査で、骨の変形や椎間板のつぶれ、ヘルニアなどが明らかに確認できれば、腰痛の原因は特定しやすくなります。
内科的なものであれば、尿管に結石が見つかるケースなども、原因が明確にわかる例と言えるでしょう。
さらに検査を重ねれば、特定できるものは増えていきます。例えば、通常の画像検査ではわからない椎間板の損傷が椎間板造影で見つかることもありますし、仙腸関節のテストを行うことで「腰痛だと思っていたものが実は仙腸関節の問題だった」とわかることもあります。臀部の筋肉の硬さ(筋硬結)による痛みが腰に出ている場合もあります。
つまり、診察に多くの時間と検査技術をかけるほど、原因を特定できる腰痛は増えるということです。ただし臨床の現場では、時間や患者さんの身体的・経済的な負担を考慮して、必要最低限の検査で済ませることも現実的な選択とされています。
理由を特定できない腰の痛み=非特異的腰痛とは
一般的な外来で行われる検査で異常が見つからない腰痛は、原因を特定できない「非特異的腰痛」に分類されます。
画像検査を行っても異常が認められない場合、「特に異常はないようです」という説明で終わることもあります。細かな筋肉の損傷や関節の炎症は画像では確認できませんし、それ以上の精密検査の必要性が低いと判断されれば「腰痛症」として扱われることになります。
先にお伝えしたとおり、原因がおしりの筋肉や仙腸関節にある場合は見逃される可能性もあります。「原因不明」と言われても、実際には見つかっていないだけというケースもあるのです。
なお、腰の痛みにしびれを伴う場合は、背骨の病気が隠れていることもあります。腰のしびれと背骨の病気の関係を解説した記事もあわせてご覧ください。
なぜ人間は腰痛になりやすいのか?二足歩行と生活習慣が理由
人間が腰痛になりやすい理由は、二本足で立つことで椎間板に垂直方向の負担がかかりやすいこと、そして生活の中で腰に負担をかける動作が多いことにあります。
「人間は二本足で歩くようになったから腰痛になった」とはよく聞く話です。ただ、実は犬などの四足動物にも腰痛や椎間板ヘルニアは起こります。
とはいえ、四本足の場合は上半身の重さを前足でも支えるため、腰への負担は分散されます。一方、人間は二本足で全体重を支えるうえ、立っているだけで椎間板に垂直方向の圧縮力がかかります。前かがみの動作や物を持ち上げる動作は、腰部への負担をさらに大きくします。
加えて、人間は長時間座る、長時間立つ、走る、捻るなど、生活様式によって実に多様な動きをします。その中には腰に負担を与える動作も多く含まれます。さらに感情を持つ人間は、ストレスの影響も受けやすい。
このように人間は、腰を痛める要素を多く抱えた動物だと言えるのです。だからこそ、日頃から腰に負担をかけない姿勢や動作を意識することが、腰痛の予防につながります。
よくある質問
Q1. 腰の痛みの理由で最も多いのは何ですか?
最も多いのは、筋肉や椎間板、背骨の関節など、整形外科的な原因による腰痛です。ただし一般的な検査では原因を特定できない「非特異的腰痛」として扱われるケースが多くを占めます。原因が特定できなくても、適切な治療やセルフケアで改善が期待できる場合は多いです。
Q2. 原因不明と言われた腰の痛みは治らないのでしょうか?
そんなことはありません。非特異的腰痛の多くは、運動や生活習慣の見直しなどで改善が期待できます。私の臨床経験でも、画像検査で異常なしと言われた方が、体の使い方の改善で楽になっていくケースは少なくありません。あきらめずに治療や対策に取り組んでみてください。
Q3. どんな腰の痛みならすぐに病院へ行くべきですか?
発熱・血尿・安静時も続く痛み・足のしびれの進行・排尿排便の異常・ケガの後から始まった痛みなどを伴う場合は、内臓の病気や神経の障害が隠れている可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
まとめ|腰の痛みの理由を知ることが予防と対策の第一歩
腰の痛みの理由には、背骨や筋肉、内臓、ストレスなどさまざまなものがあります。
原因を特定できる腰痛もあれば、一般的な検査ではわからない非特異的腰痛もある。そして、二本足で活動する人間はもともと腰に負担がかかりやすい。この3点を押さえておくだけでも、腰痛への向き合い方は変わってくるはずです。
原因がはっきりわからなくても、適切な治療や対策で良くなる可能性は十分にあります。一方で、内臓の病気などが原因の腰痛では緊急を要することもあるため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診してください。
今回の話が少しでも参考になれば嬉しいです。本日も最後までありがとうございました。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療の代わりになるものではありません。症状が続く場合や強い痛み・しびれがある場合は、整形外科など医療機関を受診してください。


