こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰痛対策の1つに、腰ベルトがあります。
腰ベルトと同じ用にコルセット(市販品、オーダー品など)がありますが、基本的には同じような目的で使用されます。
腰痛対策として使用されることも多い腰ベルトですが、装着しても効果がなく、逆に悪化したという人もいます。
そこで、腰ベルトは果たして腰痛に効果があるのでしょうか?
という事で、今回の記事は、腰ベルトが効果のない理由や正しい使用法についてお伝えします。
◎ 腰ベルトの有効性やメリット、使用するタイミングなどについて理解できて、腰ベルトを活用しながら、腰痛の改善に取り組める。
といったメリットがあります。
腰ベルトをしているにもかかわらず、腰の痛みが治らないと感じているあなたの参考になれば幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。
腰ベルトをしても痛みがある理由ってなに?
まず、腰ベルトを装着しても、痛みが解消されない理由についてお伝えします。
腰ベルトのつけ方が悪いから
一つに、腰ベルトのつけ方が悪いから痛みが改善しないという理由が考えられます。
というのも、腰ベルトの効果にはいくつかありますが、その主なものとして、腹圧を上昇させる効果と腰部(腰椎)の動きを制限(固定)する効果があります。
腹圧の上昇をさせれば、腰の力が入りやすくなるので、最大限に力を発揮させる事ができるのです。
そして、さらに腰部の動きを制限させる効果によって、腰部を動かせないようにして、痛みを起こさせなくする。
という2つの目的が働きます。
そうなると、
- 腹圧の上昇によって腰の力をいれやすくする
- 腰部の動きを固定して、腰を動かせなくする事で痛みを起こさせない
といった2つの事が言えます。
これらの効果を得るためには原則として、ベルトは適切な位置でしっかりと締めなければなりません。
間違っている位置で、さらに、緩々に装着していたとしたら、本来の腹圧を上昇させる効果と腰椎の動きを制限する効果は得られないわけです。(それは、そうですよね。目的に沿った効果を得られていない訳ですから・・・)
これは、やや極端な例ではありますが、重量挙げの選手が使用している腰ベルトをみれば、かなりしっかり締められていることが分かるでしょう。
もちろん、1日中、重量挙げ選手のようにきつく締めることはできませんので、実用的なレベルの強さで締めなければなりません。
たとえば、重いものを運ぶ仕事の時はその時だけ強めに締めるなどの工夫は必要となります。
腰ベルトやコルセットには様々なタイプのものがありますが、タイプによって装着の位置も決まっています。
つまり、どこでも巻けばよいというものではないのです。
説明書で確認する、医療従事者やトレーナーなどの専門家からアドバイスを受けるなどして、適切な位置に腰ベルトを装着するようにしましょう。
そもそも、腰ベルトが体に適していない
次に、腰ベルトが小さいとか大きいとか、薄いというように、腰ベルトそのものが適していないという可能性です。
腰ベルトやコルセットには様々なタイプがあって、用途も様々です。
どれも同じではありません。
自分の腰の状態に応じて使い分ける必要があります。
巷には、多くの腰痛に効くと言われているベルトが販売されています。
自分の腰痛にはどのタイプが適切なのか、知識もない状態で購入すると、結果的に体に適していなかったということになりかねません。
自分の腰痛の原因はこの部分だから、このベルトが適しているという判断を行ってから購入しないと、失敗してしまうのです。
腰痛の原因は様々です。
AさんにZという腰ベルトが効果的でも、Bさんには、Zの腰ベルトは全く効果がない。
なんていうことも多々あります。
自分の腰の状態や原因をしっかりと知って、適切な理論をもって、適した腰ベルト(コルセット)を選択するとよいでしょう。
体に適した腰ベルトをつかおう
という事で、腰ベルトの効果がないのは、ベルトが体に適していないという理由があることは先にお伝えした通りです。
したがって、効果を上げるには、自分に適したベルトを選択する必要があります。
そこで、以下にベルトの選択の方法(手順)についてご紹介します。
腰痛の原因を知る
まず自分の日常生活を振り返ってみて、腰に負担のかかる要因を探してください。
仕事で重いものを持ち上げる、運搬する、中腰の姿勢での作業が多いなど、物理的に腰に負担のかかることはないでしょうか?
- 姿勢はどうでしょうか?
- 猫背になっていませんか?
まず、このような要因について考えてみてください。
この分部がわかる事で、腰ベルトはどんな物が良いかの判定材料になります。
ベルトの種類と適応について知る
出典:ZAMST
ベルトには日常生活用、スポーツ用など様々なものがあります。
例えばスポーツ用だけをとってみても、固定力重視タイプから装着しやすさを重視したものまで数種類が存在しています。
ネットで検索するだけでも多くの腰ベルトやコルセットについて情報を得ることができますので、どのような目的でどのようなベルトが販売されているか、研究をすると良いでしょう。
知識が増えれば、自分に適したものが判断できるようになります。
例えば、仕事で重量物を扱うことが多ければ、伸縮性が低く、しっかりと締められるタイプのベルトが良いなどの選択が可能となってきます。
仕事以外にスポーツを行っている場合は、注意が必要です。
スポーツを行っている間に装着するものは、あまり固定力の高いものではなく、パフォーマンスを損なわない、柔軟性のある設計のものが良いでしょう。
このようなスポーツの場面では、仕事用で伸縮性の低く、固定力の高いものは不適切です。
また、1日の中で、自分の活動内容に応じて使用するベルトを変えるという方法もできるでしょう。
試着してみる
スポーツ店やドラッグストアなどで、試着できるものがあれば試してみるのも良い方法です。
どうしてもカタログを見ただけでは実際の装着感はわかりません。
病院では医療用のものが試着させてもらえる可能性もあります。
自分での判断が難しいと感じる場合は、プロの手を借りましょう。
腰痛治療が得意な医師が処方するコルセットは、経験をもとに考えられたものなので、より高い効果を発揮することもあります。
病院では市販品を使用する場合もありますが、義肢装具士が採型(石膏で型を取る)を行って、完全なオーダー品を作ることも可能です。
採型して作成しますので、自分にピッタリとあったものを作ってもらうことが可能です。
このようなオーダー品は、合わない部分があれば手直しもしてもらえますし、将来的な修理、修正も対応してもらえます。
義肢装具士からの装着のアドバイスも受けられるので、おすすめの方法とも言えます。
腰ベルトに頼りすぎると痛みは悪化する
まず、腰ベルトをしているからといって、腰の痛みが改善するとはかぎりません。
あくまでも、ベルトは補助です。
なので、腰ベルトに頼ってしまう事だけはやめましょう。
これは、避けたい所です。
で、自分に合った腰ベルトが見つかれば、すぐに腰痛軽減の効果を感じることができるかもしれません。
しかし、ベルトやコルセットは魔法の道具ではありません。
ベルトを付ければ、何をしても良いというわけではないのです。
姿勢が悪くて腰痛を起こしているのに、姿勢に対する対策は行わずに、コルセットだけに頼っていても、根本的な改善はしません。
むしろ、ベルトをしているからという安心感から、その他の対策を怠ったり、無理をしたりして悪化させてしまうこともあるでしょう。
このような点には十分な配慮が必要となります。
ですので、頼り過ぎには注意しましょう。
腰ベルトはあくまでも補助。という考えをもつべき
腰ベルトはあくまでも腰痛時の補助です。
腰痛を治すことができて、予防もできるというものではありません。
すすめられる使用法としては、例えば、急性腰痛(ぎっくり腰など)を起こして、痛みが治まるまでの間だけ、限定的に使用するなどです。
永続的に使用するのではなく、期間を決めて使用するとよいでしょう。
さらに、特に重量物を扱う仕事などを行っている場合は、その仕事の間だけピンポイントで使用するなどの方法がいいでしょう。
ただ漫然と1日中腰ベルトをしたまま生活や仕事をするのは良くありません。
1日中腰ベルトをしてしまうと、腰の柔軟性が低下して、腰の可動域制限が起きてしまいます。
そうなると、腰を少し動かしただけで、痛みを感じやすくなってしまうのです。
という事で、姿勢の改善、筋トレ、ストレッチなどの腰痛対策をしっかりと行い、腰ベルトは補助的に使用するというのが良いのです。
まとめ
今回は腰痛と腰ベルトについてお伝えしました。
腰ベルトは腰痛に効果を発揮する場合がありますが、体に適していなかったり、使用法を誤っていたりすると本来の効果を得ることができません。
また、腰痛ベルトやコルセットには様々なタイプが存在していて、それぞれ目的が違うことも知っておく必要があります。
腰ベルトを有効に使用するためには、自分に合ったものを選択し、適切な方法で使用することです。
腰ベルトは魔法の道具ではありません。
ベルト以外に良い姿勢を意識したり、筋トレ、こまめにストレッチをするなどの腰痛対策は必ず必要となります。
ベルトはあくまでも補助として、必要な時にタイミングよく使用し、腰痛の予防に利用するようにするとよいでしょう。
以上の事を念頭にしてほしいと思う次第です。
本日の内容が少しでも役立てば嬉しいです。
本日も最後までありがとうございました。