こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰痛改善のために様々なものが紹介されています。
いったいどんな方法が効果的なのか迷ってしまうでしょう。
というか、わかりませんよね。
そこで、今回は数ある腰痛体操の中から「これだけ体操」という腰痛の治療体操の効果や方法をご紹介したいと思います。
◎ これだけ体操って何かという事がわかって、あなたの腰痛の改善の役に立つ可能性がある
◎ 辛い腰痛の改善に繋がる
といったメリットが考えられます。
腰痛でお悩みあなたの参考になれば幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。
1 これだけ体操ってなに?
「これだけ体操」とは、東京大学医学部附属病院の特任准教授である松平浩氏が考案した、簡単に行える腰痛体操です。
世界的に有名な「マッケンジー法」のコンセプトをもとにして、一般の方でも自分で手軽に行えるように工夫されています。(といっても、体操の中身はマッケンジー法で行っている方法なので、ほぼマッケンジー法と言えるかもしれませんが・・・)
で、体操は腰を反らす運動を中心として、合計3種類あります。
- 腰を反らす運動
- 腰を横に曲げる運動
- 腰をかがめる運動
の3種類です。
これらの中から、自分に合った1~2種目を行うだけです。
これが、「これだけ」と命名された所以でしょう。
2 これだけ体操は腰痛に効果がある
これだけ体操は腰痛改善のために考案された体操です。
適切な体操を選択して行うことで腰痛の改善や予防に役立つと言われています。
2-1 これだけ体操で実際に腰痛が改善した例
これだけ体操は研究においても、その効果が確認されています。
介護の職場で、介護職員に導入した研究では、1年後に体操を行わなかった者に比べて有意に改善したという結果が複数得られています。
これだけ体操を継続する事が、腰痛の改善に効果がある。
と統計的にも証明されていますので、十分に効果が期待できる体操であると言えるでしょう。
2-2 どんな腰痛にでも効果があるのか?
これだけ体操は、腰を反らす運動が中心的な位置に置かれています。
実際にも、腰を反らす運動が腰痛に効果のあることが多いのです。(これは、マッケンジー法でも、腰を反らす運動が効果のある事が多いのは事実です。)
しかし、逆に前に曲げた方が良い人や、横に曲げた方が良い人もいます。
現在、これだけ体操は、腰を反らす運動を始めとして、合計3方向の運動が採用されています。
多くの状態に対応できるように考えられており、非常に合理的と言えるでしょう。
3種類の運動の中から、自分に最も適したものを採用することで、効果の得られる確率が高くなるわけです。
このように改善効果が得られるように工夫された体操ですが、それでもすべてに効果が得られるわけではありません。
ある治療法の効果の有無については、統計的に判断されます。
したがって、全体の中には効果が得られない場合も含まれています。
腰痛はその85%は原因が特定できないとされています。
この数値は、医学の進歩とともに減少して、将来はすべて解明できるようになるかもしれませんが、現在(2019年)そこまでには至っていません。
腰痛の原因には、様々なものがあると考えれば、これだけ体操が適さない状態があることも想像できるでしょう。
体操レベルでは改善できないような、重度の障害を生じている場合もあります。
残念ながら、全ての腰痛に効果が得られる体操は無いと言ってよいでしょう。
3 これだけ体操ってどうやるの?
まず、体操の基本的な考え方について解説した後に、具体的な体操の方法をご紹介します。
これだけ体操は、椎間板の中にある髄核(ずいかく)の動き(移動)に焦点を当てたものです。
髄核は椎間板の丈夫な繊維輪の中にありますが、大きな力を受けて内部で移動します。
このような状態で、椎間板が内部で損傷すると髄核は後方へ押し出されることがあります(椎間板ヘルニア)。
このような髄核の移動をリセットして、中央へ戻そうというのがこれだけ体操の基本的な考え方になります。
この原理を理解しておくことで、体操の意味がよくわかるでしょう。
3-1 まず、基本の腰を反らす運動
背中の丸くなった姿勢が続いた時や重量物を扱った時などは、椎間板の前方にストレスがかかり、髄核は後方へ移動した状態となります。
もしも、椎間板の後方に亀裂があれば、亀裂を押し広げる力が働きます。
腰を反らすことで、椎間板の後方へ力をかけ、髄核を前方へ押し戻す感じです。
デスクワークの途中などに時々行うと良いでしょう。
3-2 次に、腰を横に曲げる体操
椎間板は後方だけへ移動するわけではありません。
左右方向へも移動することがありますので、腰を横に曲げることで、左右への移動をリセットしましょう。
左右同じ力加減で行ってみて、きついと感じる方を行いましょう。
いつも同じ方向の横座りをしている方などには有効です。
いつも曲げていない方向へ曲げる練習をしてみてください。
3-3 最後に腰をかがめる体操
反り腰気味の方、ハイヒールを履いて立ち仕事をしている方などにお勧めの体操です。
反り腰になると椎間板の後方へ力がかかり、髄核が前方へ移動しますので、時々前屈して、髄核を後方へ押し戻すと良いでしょう。
これらの体操を適切に行えば、髄核の移動を抑制することが出来ます。
ただし、「体操をして髄核の位置をリセットすればいい」とは考えないようにしてください。
日ごろから、できるだけ髄核が移動しない姿勢をキープするということが基本です。
常に姿勢に意識を向け、腰が曲がらない、反り過ぎない、ちょうど良い位置でコントロールできるようにすると良いでしょう。
4 多くの理学療法士の意見と考えをまとめた
これだけ体操の考え方は、科学的で理屈がわかりやすいので、個人的にはとても受け入れ易い体操であると思います。
実際に私もデスクワークの途中などでは、反らす方向の体操を行っていて、効果を感じています。
この体操は、特に椎間板(髄核)を意識したものです。
椎間板に対して、偏った力がかかりがちな人に効果があると考えられます。
具体的に言えば、
- 事務系デスクワーク
- 中腰での作業
- 力仕事(運搬、工事、介護など)
- 椅子に腰かけての作業
- 自動車等の運転
- ハイヒールを履いての立ち仕事
- 妊婦
など姿勢が悪い状態が長く続く方には有効でしょう。
一方、椎間板に痛みの原因がない場合は、効果が感じにくいこともあるでしょう。
スポーツを熱心に行っている人、特に成長期に激しいスポーツを行っている場合、椎間板ではなく椎骨後方にある関節や骨にストレスがかかり、痛みを生じていることがあります。
成長期においては、椎間板は若く、柔軟性もあるので、損傷しにくいと考えられますが、骨については成長期のため、十分な強度がありません。
激しいスポーツなどで繰り返し力がかかると、骨折に至ることもあります(腰椎分離)。
このような症状は無理な腰椎の伸展(腰を反らす)によって起こることがあります。
したがって、この症状に対して、腰を反らす体操は逆効果となってしまうことがあるのです。
腰痛に、腰を反らす体操が効くことが多いとは言っても、このような場合には行ってはいけません。
治療者・指導者は、患者の日常の生活、職業、スポーツ歴などを問診において聴取し、腰痛の原因を追究することで、正しい運動を指導することが出来ます。
そのプロセスを省略して、とりあえず腰部伸展の運動を勧めるべきではありません。
熱心にスポーツを行っていて腰痛がある人は、スポーツ障害を扱っている病院やクリニックで専門の医師よりアドバイスを受けることも良い方法です。
腰痛の原因を正しく把握して、適した運動を行うことが大切なのです。
5 まとめ
今回は、腰痛体操の1つである「これだけ体操」についてご紹介しました。
この体操は、椎間板の中の髄核の動き(移動)に着目し、体操を時々行うことで、髄核の位置を適正な位置に戻すというものです。
長時間悪い姿勢が続き、腰への負荷が大きくなると、髄核が移動し、椎間板ヘルニアの原因となることもあります。
これだけ体操を行うことによって、髄核の異常な移動を抑制し、椎間板ヘルニアの発症リスクを下げることも期待できます。
これだけ体操は、腰を反らす運動が中心となっていますが、姿勢の状態などによって、横に曲げたり、前に曲げたりする体操のバリエーションもあります。
腰痛の原因には様々なものがありますので、自分に合った体操を選択して、無理の内容に継続していくことが大切です。
本日も最後までありがとうございました
今回の記事もあなたの参考になれば嬉しいです。