こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
脊柱管狭窄症は、脊髄の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経症状を引き起こす疾患です。
腰椎で起こることが多く、腰や太ももの裏、ふくらはぎ、足の裏にしびれや痛みを感じやすいのが特徴です。
間欠性跛行といった歩行障害を起こすのも特徴です。
で、
この脊柱管狭窄症で辛い・・困っている・・
といった人が、沢山います。
腰の痛みや足のしびれを訴えながら、脊柱管狭窄症に苦しんでいる方々が腰痛の人口の中でも一定数いるのです。
その脊柱管狭窄症の症状が改善されたら、どれだけの人が助かって、人生が豊になるのかと考えると。
どうにかして治してあげたいなと思うでしょう。
という事で。
この脊柱管狭窄症を治す為の方法として、マッケンジー法。
というのがあります。
このマッケンジー法は、とても有効な方法であり、治療効果も高い。
と言われています。
実際には、脊柱管狭窄症の方にも圧倒的な治療効果を出せる可能性があるのです。
そこで、今回の記事では、
マッケンジー法の脊柱管狭窄症に対する効果等について話していきます。
- 脊柱管狭窄症にマッケンジー法は効果がある
- マッケンジー法についての正しい情報を持とう
- どんな治療においても、試してみないとわからない
といった、3点を含み。伝えます。
この記事を最後まで読めば、マッケンジー法は脊柱管狭窄症にも効果がある。
という事がわかるでしょう。
そして、
マッケンジー法の有用性とマッケンジー法を理解するための一助となれば幸いです。
是非、最後まで読んで欲しいと思います。
それでは、本日もよろしくお願いいたします。
1 脊柱管狭窄症にマッケンジー法は効果がある
腰痛や腰椎椎間板ヘルニアの治療法として、マッケンジー法が紹介されることがあります。
ここ数年で認知度も広がり、治療者の中でも使用してきている人が増えてきました。
具体的には、
腰を伸展する(反らす)運動が紹介されていることが多く。
このような理由から、
腰を反らすと症状が悪化する恐れのある脊柱管狭窄症には、マッケンジー法は適さないと判断されていることがあるのです。(脊柱管狭窄症は、腰を反らすと症状が悪化するという、医学的理論があります。)
しかし、
そもそも、これが間違っており。
脊柱管狭窄症と診断された人でも、腰を反らす事で、症状が良くなる。
という人がいるのが実際なのです。
1-1 マッケンジー法は腰を反らすだけではない。
まず、マッケンジー法は腰を反らすだけではありません。
- 腰を前に曲げる
- 腰を横にスライドさせる
- 腰を後ろに反らす
といった、3方向に動かす動作が代表的であり、他にも捻る、回すを織り交ぜた複合的な動作があります。
で、
圧倒的に多いのが腰を後ろに反らす動作で腰痛が改善する人が多いので。
というイメージが定着してしまった。
という結果があると言えます。
しかし、これは誤解であって。
マッケンジー法では、
前、横、後ろの3方向で評価して、あなたには、どの方向の運動をおこなえばいいのか?
というのを見つけて、適切な運動方向を採用します。
脊柱管狭窄症の方を検査して、腰部の伸展で症状が悪化するのであれば、伸展運動を採用することはありません。
屈曲方向で症状が軽減されるのであれば、屈曲方向の運動を採用するのです。
しかし、
脊柱管狭窄症でも、腰を後ろに反らして治る人もいるのです。
その場合は、後ろに反らす方向の運動を採用します。
なので、
マッケンジー法は、決して腰を反らすだけではないことを理解しておくことが大切です。
腰部を屈曲する方法の例をご紹介します。
膝を立てた背臥位(はいがい、仰向け)から両膝をしっかりと胸に引き付けます。
次に、
力を緩めて、元の膝立て背臥位にもどります。
これを10回程度繰り返しますが、
徐々に強く曲げていき、最後の2~3回は最大限に曲げます。
立位で片足を椅子などの上に乗せ、両手で足首付近をつかみ、引っ張るようにしながら腰部を屈曲します。
次に立位に戻ります。これを10回程度繰り返します。
1-2 マッケンジー法は脊柱管狭窄症に応用できる
マッケンジー法は、腰部の全ての運動方向で検査を行い、適切な運動方向を決定します。
なので、脊柱管狭窄症にも応用することが可能です。
一般的に腰部伸展(腰を後ろに反らす行為)で症状が悪化し、
屈曲(腰を前に曲げる行為)で改善すると言われていますが、
全てがそうではありません。
側屈(横に倒す)や回旋(ひねる)動作で改善する場合もあります。
また、
30例の内6例において伸展方向で改善が見られています。
脊柱管狭窄症は、腰部の伸展がダメで屈曲はOKという考えのもとで、全て屈曲の運動を処方するやり方は、むしろ危険です。
というか、
それであれば、教科書をみて、教科書通りにしているだけなので。
我々理学療法士が施術、治療する価値が落ちるだけでしょう。
むしろ、理学療法士が治療する意味はあるのか?
という疑問にもなってしまいますし。
教科書をみて、誰がやっても結果が同じだ・・・と言えちゃう。
と思うのです。
なので、
【あなたの症状・状態に最適な治療体操や方法はなにであるのか?】
を評価する事こそが、理学療法士の役割である。
と思うのです。
なので、
教科書通りに、脊柱管狭窄症には伸展は悪化する。
というのを、
謎に愚直に信じて、行動してしまうのうは、危険である。
と。
言いたいし、言えるのかな。
と思う次第です。
よって、
全ての方向への運動に対して、評価を行うマッケンジー法は安全性が高いと思うのです。
1-3 マッケンジー法を試してみないと、結果はわからない
ですが、
どんな治療にせよ、試してみないと効果・結果はわかりません。
マッケンジー法も、治療を施してみないと治るかどうか。
わからないのです。
マッケンジー法は脊柱管狭窄症に適していないというのは誤りですし。
効果がある可能性が高いです。
マッケンジー法は、評価をもとにして最適な運動方向を見極めますので、正しく行われれば安全で効果的なものと言えるでしょう。
ただし、
だからといって万能ではありません。
狭窄率が高い場合や、運動によっても神経への圧迫が解放されないような場合においては、効果を感じられないこともあるでしょう。
結論として、マッケンジー法の効果の有無は、試してみないとわからないということになります。
なので、
効果があれば継続して良いでしょうし、効果がなく、むしろ悪化するようであれば、他の治療法を検討するべきなのです。
で注意点があって。
マッケンジー法を実施した際に、一時的な痛みの増強を伴うことがあります。
これを覚えておくといいでしょう。
足の痛みは減ったが、腰痛が強くなったなどの例がありますが。
痛みや症状が悪化する原因も必ずあります。
というのも。
例えば、
- ホームエクササイズの回数とセット数が足りない、多い
- 負担が強すぎた
- 姿勢の意識ができていない
- 日常生活での注意点を守れていなかった
など。
痛みがつよくなってしまう原因が必ずあるはずなのです。
また、痛みは変わらないけど、動作は行いやすくなっている。
などの場合も効果が表れている兆候です。
なので、
マッケンジー法を行っても痛みが変わらない、腰の痛みが強くなった。
からと言って、すぐに効果が無いと判断せず、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断を行う必要があるのです。
是非、頭にいれて欲しいと思います。
「中心化」に対して「末梢化」という概念があって、痛みが末梢へ広がる兆候です。
脊柱管狭窄症では、足の痛みやしびれが強くなる症状として現れます。
これは良くない兆候ですので、行っているエクササイズを中止して、専門家のアドバイスを受ける必要があるでしょう。
2 マッケンジー法についての正しい情報を持とう
マッケンジー法は、ニュージーランドの理学療法士「ロビン・マッケンジー」が、1950年代に考案した治療法です。
考案の原点が腰痛治療であったことで、広く腰痛治療の代名詞的な存在となりました。
マッケンジー法は腰痛治療で有名ですが、対象は腰部に限らず、首・手足なども含まれています。
治療法はシステム化され、一連の流れに沿って行われます。
マッケンジー法による治療の流れ
では、これより、マッケンジー法の治療の流れを紹介したいと思います。
① 評価
症状、病状を把握するため、最初に評価を行います。
- 問診
- 動作(反復運動検査)、姿勢の検査
② 分類
検査によって得られた結果から、症状を4つに分類します。
- Derangement syndrome…椎間板の亀裂など
- Dysfunction syndrome…脊柱周囲の関節包や靭帯の拘縮など
- Postural syndrome…猫背などの姿勢によるもの
- Others…上記以外のもの。脊柱管狭窄症はここに含まれる。
③ マネジメント・施術
エクササイズの処方、姿勢の指導などが行われます。
自分でメニューを実践することが基本ですが、
必要に応じてセラピストが徒手的な施術を行う場合もあります。
④ 予防
再発予防の方法を理解して実践します。
基本的にマッケンジー法は、認定セラピストによって行われます。
認定セラピストは、国際マッケンジー協会が認定する講習会を終了し、修了認定試験に合格する必要があります。
我が国においては、全国各地に認定資格をもつセラピストが存在しています。
病院、クリニック、整骨院、鍼灸院など、様々な施設で治療を受けることが可能です。
マッケンジー法の参考動画(腰を反らす運動)
※ 立位のまま行うパターン
※ うつぶせで行うパターン
3 どんな治療においても、試してみないとわからない
脊柱管狭窄症の治療に限らず、医療における治療法では、試してみないとわからないことがあります。
例えば、
病院で処方される薬は臨床実験などが行われ、効果と安全性が確かめられたものですが。
この薬においても、人によっては効果が得られない場合もあります。
ある人にはとても効果があったとしても、別の人には逆効果となることもあるのです。
残念ながら万能な方法は存在しません。
最終的には試してみないとわからないというという結論に至ってしまいます。
したがって、
自分にあった治療法を見つけるためには、回り道も受け入れる心構えが必要となります。
4 まとめ
今回は、脊柱管狭窄症に対するマッケンジー法の効果についてご紹介しました。
マッケンジー法は、腰痛に対する腰部の伸展運動が代表的で、脊柱管狭窄症には適していないという誤解を生じていることがあります。
しかし、
マッケンジー法は伸展運動だけではなく、
様々な運動方向を採用する方法であるため、
脊柱管狭窄症にも対応することができます。
マッケンジー法に対する正しい認識と知識が必要であると思うのです。
脊柱管狭窄症の治療については、最善の方法が1つ存在するわけではありません。
試した結果、マッケンジー法の効果を感じることができれば、それは正しい選択だったと言えるでしょう。
で、
どんな治療でも、あなたの症状が良くなれば。
それでいいと思っています。
その中で、
マッケンジー法という治療方法がリスクもなく、圧倒的な治療効果があるので、いいのではないか?
というお話なだけであります。
自分に合った脊柱管狭窄症の治療法を見つけるためには、時に回り道をすることがあることを理解した上で、治療に取り組む必要があると思います。
あなたに最適な治療方法が見つかることを願っています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。