こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰痛を経験する人の数は増加しています。
その数は、近年の高齢化によって、ますます増えることも予想されます。
腰痛は、すでに国民病とも呼べるものです。
しかし、この腰痛、どうしてこんなに増えてきたのでしょうか?
今回の記事では、どうしてこのように腰痛の患者が多いのか原因を探ります。
◎腰痛患者が減らない理由としては、腰痛の自己管理ができていない状態になっているからだと考えます。
腰痛をお持ちの方、腰痛の理由に興味がある方の参考にしていただければ幸いです。
1 腰痛患者が減らない理由は、体の自己管理の方法を知らないから
腰痛の発症は、自己管理に大きく関係しています。
ここでは自己管理に焦点を当てて、腰痛の原因についてお伝えします。
自分自身に予防の意識があれば、腰痛は減る
腰痛は仕事が原因、年のせい、腰が痛くなるのは当たり前などと思っていませんか?
確かに、仕事や年齢の影響はあるのですが、予防によって腰痛の発症を防いだり、症状を軽減したりすることが可能です。
腰痛を予防するためには、予防に関する知識が必要です。
学生時代に学ぶことができれば幸運ですが、ほとんど習った人はいないのではないかと思います。
したがって、多くの場合自分で学ぶしかありません。
最近は、テレビ放送などでも腰痛について取り上げられることが多くなりましたので、学ぶ機会は増えています。
しかし、内容の偏りや伝えられない情報もあります。
「これで腰痛が治った」などと題して紹介されることもあります。
しかし、その方法は、すべての人に当てはまるわけではありません。
テレビの情報がすべて自分に合ったものだと思い込んでしまうと、腰痛対策に失敗してしまうことがあります。
一度今までの先入観を捨てて、一から腰痛予防について学んでおいた方がよいでしょう。
腰痛予防についての正しい知識を得て、それを実行すれば腰痛は減少するでしょう。
自分自身が腰痛予防を意識すること。まず、この点について認識を改めることが重要です。
自己管理ができれば、腰痛に負けない体になれる
自己管理ができれば、腰痛を起こす原因を最小限に抑えることができます。
うまくいけば、腰痛に負けない体を実に入れることも可能です。
自己管理の詳細について、ここですべてをお伝えすることはできませんので、重要な要素についてご紹介しておきます。
腰痛予防のための自己管理
その1.姿勢の改善
猫背や反り腰などの悪い姿勢の改善。
椅子、運転席へ腰かける姿勢を見直すなど。
クッションを利用するなどの工夫。姿勢は崩れやすいので、常に意識を向けることがポイント。
その2.柔軟性の改善・維持
体幹や下肢の関節、筋肉の柔軟性を改善するために、ストレッチなどを行うなど。
少しずつでも継続することが大切。
その3.筋力の向上・維持
腹筋、背筋などの体幹筋や下肢筋力の向上など。
体幹筋の筋力強化は、腰(腰椎)への直接的な効果がある。
下肢筋力を強化することで、下肢筋力を使った動作(持ち上げ動作など)が行いやすくなる。
その4.動作法の習得
腰に負担のかかりにくい動作法を習得する(パワーポジションでの動作など)。
動作の違いによって、腰への負担が大幅に変わることを知って行動する。
その5.運動習慣
歩行、軽いスポーツなどの運動習慣を身に着ける。
体重管理や筋力向上などにも効果を発揮する。
その6.体重の管理
体重の増加は、腰痛の原因となるため、適正体重が維持できるように管理する。
その7.日常生活上の注意・工夫
高いところの物を取るときは、踏み台を使用する。
くしゃみをするときは壁に手をつくなど、生活の中での注意と工夫を行う。
その8.環境の改善・工夫
職場の労働環境の改善(ロボット、器具の利用)、重量物を扱う場合は、二人以上で作業を行うなど。
2 腰痛が100%治る唯一の方法なんて存在しない
ここでは、腰痛が絶対に治る!という方法は存在しない。
という事を伝えたい内容になります。
腰痛を治す為には、諦めずに治療を続けるべし
腰痛を発症してしまった場合、治療する、様子を見る、最初から諦める(仕方ないものと判断する)などの選択肢が挙げられます。
ここで治療を選択した場合を考えてみます。
治療をしたら、腰痛は治るのか?
この問いに対する答えは「はい」でもあり「いいえ」でもあります。
治る場合もありますが、治らないこともあるからです。
確実に言えるのは、100%治すことのできる、唯一の方法はないということです。
ある治療法が、ある腰痛患者さんにベストマッチすれば、改善することもありますが、逆に適しない場合、治療効果なしという結果に終わることもあります。
後者の場合、腰痛の治療をしてみたけど治らなかったという諦めにつながることも少なくありません。
腰痛治療には適不適があって、その人に合っているかどうかが非常に大切な要素となります。
ある人に劇的な効果があったとしても、他の人には逆効果となることさえあるのです。
したがって、腰痛の治療は一度で諦めてはいけません。自分に適した治療法が見つかるまで、根気強く続けていく必要があります。
判断の基準は自分の体です。
決して他人の評価だけに惑わされないように注意してください。
3 手術でも治らない腰痛患者さんは沢山いる
腰痛の治療は、保存療法が基本です。
しかし、症状が進行した場合や最初から重度の症状が出現している場合(稀です)においては、手術を行うことがあります。
手術には、保存療法では得られない大きな効果があります。
しかし、すべての症状を取り去るような確実な効果を望むことはできません。
思い切って手術をしたものの、しびれの症状や痛みが少し残ったなどということは珍しいことではありません。
手術をしても、何らかの症状が残ったという人はたくさんいます。
ただし、治らないのだったら手術はしないほうが良いなどと、間違った判断をしないようにお願いします。
手術には大きな意味があるからです。
4 なぜ手術でも治らないのか。
基本的な考え方として、手術は最終手段に位置付けられます。
椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などに対する腰部の手術は、これ以上悪化させないための処置という意味合いが強いものです。
「手術したら完全に良くなりますよ」ではなく、「このまま放置すると、取り返しのつかない障害を起こしますから、手術で食い止めましょう」ということです。
手術が必要な状態では、通常症状が進行していて、椎間板や骨の変性が強く、また神経へのダメージが生じている場合が少なくありません。
そのような状態で手術を行うため、手術を行ったとしても完全に元通りになることはないのです。
また、手術自体、身体の組織に侵襲(生体を傷つけること)を与えますので、それによって、二次的に不具合を生じることもあります(手術のリスクであって、ミスではありません)。
手術には、重症化を防ぐという大きな意味を持っています。
治らない症状もありますが、それだけにとらわれないようにしておいてください。
5 自己管理で腰痛予防をする方が圧倒的に効果が高い
学校教育において、どの程度の腰痛予防指導が行われているのでしょうか?
残念ながら詳しい知識がなく分かりません。
しかし、職場における腰痛予防に対しては、近年力が入れられてきていることは間違いないようです。
このような腰痛予防に対する知識の習得は、早い方がよいと考えます。近年、スポーツで腰を悪くする児童も増えてきています。
若い時期から腰痛の知識を持って、早くから対策、対処ができるようにしておくべきでしょう。
大人も子供に対して、適切な腰痛予防のアドバイスができるようにしておかなくてはなりません。
大人が子供に対して指導ができず、腰痛が増えては困りますね。
医療機関にも責任があります。
腰痛の患者に対して、しっかりと指導を行ってきたか、行っているか?
腰痛があっても、歩けるならば、大したことはないと考えていなかったか…
腰痛予防には自己管理が大切ですが、専門家である医療機関は患者に対してこの自己管理の重要性を説明し、しっかり指導するべきと言えるでしょう。
指導を得られれば、その指導は患者の家族、教え子たちにも広がるでしょう。
6 まとめ:
今回は腰痛の患者が減らない理由についてお伝えしました。
腰痛は、職業病、年のせいなど、仕方のないものとしてとらえられ、適切な対策がとられていないことが多いようです。
腰痛の予防には、自己管理が重要です。
姿勢、柔軟性、筋力、日常生活などの管理を行うことが、腰痛予防に効果を発揮します。
また、すでに腰痛を発症していて治療を行う場合、1つの治療法だけで治るとは限りません。
腰痛の原因は様々で、その人に効果のある治療法はそれぞれ異なるからです。
一度の治療で治らなかったからと言ってあきらめず、根気強く治療法を模索することも必要です。