こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
脊柱管狭窄症は、加齢などの原因によって生じる高齢者に多い疾患です。
腰痛や坐骨神経痛などを生じることが多いものですが、運動によってこれらの症状が強くなる場合もあります。
今回は、この脊柱管狭窄症と運動の関係についてお伝えします。
◎脊柱管狭窄症で運動しても悪化しない事が理解できて、安心して運動や仕事に取り組めるようになると思います。
脊柱管狭窄症で、運動(仕事)をしてよいのかどうかわからず悩んでいる方の参考になれば幸いです。
では、よろしくお願いいたします
1 脊柱管狭窄症は運動で悪化に繋がるのか?考察してみた
ここでは、脊柱管狭窄症の人が運動して悪化する場合について簡単に紹介しています。
脊柱管狭窄症で運動すると悪化する理由について
脊柱管狭窄症は脊柱管が狭くなる疾患です。
脊柱管の中には脊髄が通っていますので、脊柱管が狭くなることで脊髄への圧迫などが起こります。
この脊柱管狭窄症は腰椎部分で起こることが多いため、腰痛や坐骨神経痛などの症状を起こします。
狭窄する理由にはいくつかあって、腰椎の変形や滑り、椎間板の突出などによって狭窄が起こります。
しかし、狭窄が起きてもすぐに症状が出るわけではありません。
脊柱管にはある程度の余裕があるため、多少骨が変形した程度では神経をそれほど圧迫しません。
また、多少神経が圧迫されていても、圧迫する力が小さければ神経の障害を起こさないこともあります。
逆に言うと、症状が出現した時には、神経がかなり圧迫されている状態になっているということです。
例えば、神経の通り道の広さが半分程度にまで狭くなった場合を想像していただければよいと思います。
こうなるともう神経に余裕はありません。逃げ道が亡くなってしまうのです。
例えに少し無理があるかもしれませんが、分かりやすく説明するために、脊柱管を水道のゴムホースに例えてみます。
ゴムホースは少し曲げたくらいではつぶれたりはしませんが、強く曲げてしまうと曲げたところでつぶれてしまいますね。
流している水が止まることもあることは、皆さんご存知でしょう。
脊柱管がゴムホースと同じ振る舞いをするわけではないのですが、脊柱管も脊柱の曲がり具合で内部の空間が狭くなることがあるのです。
表現を変えれば。体の動き(運動)によって神経(および血管)への圧迫が強くなることがあるということです。
このような理由があって、運動の種類や内容によっては神経へのダメージを増やすことがあるため症状の悪化を引き起こすことがあるのです。
脊柱管狭窄症で、運動して実際に悪化した人の話
運動による症状の悪化は、理屈上のものではなく実際に起こります。
有名なものとしては、間欠性跛行(かんけつせいはこう)があります。
これも運動による症状の悪化の1つです。
歩行という運動が症状の悪化の原因となっています。
健康維持のための散歩が、実は脊髄にはダメージとなっていたということにもなります。
歩行以外でも動かし方(方向など)を間違った体操で症状が悪化したということもあります。
このように脊柱管狭窄症の状態で、間違った運動を行うと症状を悪化させてしまう恐れがあることについては、注意しておく必要があります。
2 脊柱管狭窄症で運動しても悪化しない人もいる。
脊柱管狭窄症で運動をしても悪化しない人もいます。
ここでは、これについて述べていきます。
脊柱管狭窄症で運動しても悪化しない理由や実際に運動しても問題ない。
という人が何故いるのか?
そんなことを紹介していきたいと思います。
運動しても悪化しない人の理由について
脊柱管が少し狭窄した程度では症状は出現しない場合もあります。
したがって、画像検査上、脊柱管が狭窄していることが分かり診断名がついても狭窄の程度が少なければ症状が出ないか軽い状態が多いです。
このような状態では、適度(適切)な運動であれば、症状を悪化させることなく運動することが可能です。
また、狭窄の程度がある程度進行していても、運動ができる場合もあります。
腰椎をできるだけ動かさない運動方法で行ったり、コルセットを装着するなどして腰椎の動きを制限した状態で運動したりすることで、症状の悪化を防止することができます。
脊柱管狭窄症と診断されて、運動している人の話
脊柱管狭窄症の診断を受けて運動している方は、たくさんいらっしゃいます。
もちろんどんな運動でもOKというわけではありませんが、注意して行えば様々な運動を行うことができます。
むしろ運動は行った方がよい、行うべきといっても良いかもしれません。
脊柱管狭窄症の症状が出現すれば、長距離歩けなくなったり、できる作業の内容に制限が生まれたりします。
そうすると、次第に運動量が減少し、筋力も低下していくため、身体の機能、能力が低下していきます。
病院での治療においても、脊柱管狭窄症に対する運動療法は適応となっていて積極的にリハビリが行われています。
3 脊柱管狭窄症でもケアをすれば何をしても問題ない(かもしれない)
脊柱管狭窄症になったら、制限が多くなる印象がありますが、決してそうではありません。
脊柱管狭窄症について理解し、ケアを行うことで制限の少ない生活を送ることができる事も多いです。
日常生活で気を付ける点
腰痛と同様、脊柱管狭窄症のケアにおいては日常生活上の対策が重要です。
基本的な考え方は、神経が圧迫されない姿勢を取ることと、腰部への負荷を小さくすることです。
どのような姿勢で症状が強くなるかは、自分で確認も可能ですが、危険を伴う場合もありますので、医師の指導の下確認するのが安全です。
その① 押し車(シルバーカー)などの歩行補助具を使用する
押し車を使うと前傾姿勢になり、症状が出にくくなる
前かがみの姿勢で症状が軽くなる人の場合、押し車などを使って歩くことで前傾姿勢となるため歩行しやすくなります(間欠性跛行が出現しにくくなる。歩行距離が延びる)。
押し車を使用したくない場合は、杖を使用するのも良いでしょう。
少し前傾姿勢で歩くのがポイントですが、人によって症状が軽くなる姿勢が違いますので注意が必要です。
その② 体重に注意する
肥満はすなわち腰への負担の増加につながりますから、体重が増えすぎないように管理することが大切です。
その③ 重いものを持たない
重量物を持ち上げる、運ぶなどの作業は腰への負担となりますので、できるだけ避けるようにしましょう。
持ち上げる場合は、膝の力を使って、できるだけ体の近くで持ち上げるようにします。
スーパーなどでの買い物の際は、カートを利用するなど、荷物を持って歩かないようにするとよいです。
その④ 踏み台を利用する
高いところにあるものを取る際は、手を上げて取らずに、踏み台に乗って取るようにします(安全な範囲で)。
炊事などの立ち仕事の際には片足を踏み台の上にのせておくと、腰が反り過ぎず、症状の軽減に有効なこともあります。
その⑤ 自転車を利用する
交通事故などの可能性もあるため注意が必要ですが、自転車による移動は歩行に比べて腰への負担が少なく、前傾姿勢となるため、脊柱管狭窄症には良いと言えるでしょう。
エクササイズとして固定自転車(エアロバイク)を利用するのもお勧めの方法です。
4 脊柱管はだれでも狭窄する可能性がある
年齢を重ねたら、多かれ少なかれ脊柱管は狭窄してくるのではないかと思います。
しかし狭窄しても症状が出ない程度であれば、脊柱管の狭窄に気づくことなく一生を終えることができるでしょう。
このような症状の出ない(または極軽い)脊柱管狭窄(症)の人まで計算に入れたら、かなり大きい数値となることでしょう。
だから、脊柱管狭窄症は珍しいとか、特殊なものではないんですね。
早ければ50歳代で症状が出始めますから、40歳ころから、「そろそろ脊柱管の狭窄進んできたかな」「今から予防しておこう」という心構えも必要なのかなと思います。
腰への負担を考えた生活は腰痛の予防や椎間板ヘルニアの予防にも役立ちます。
症状が出る前から腰への配慮を忘れない生活をしていただければと感じます。
5 まとめ:脊柱管狭窄症は適切に運動や仕事をすれば、悪化する可能性は少なくできる。
脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭窄することで、神経や血管が圧迫されて症状が生じるものです。
狭窄の状態によってはある運動によって症状が悪化する場合もあります。
しかし、神経の圧迫が少なくなる姿勢をしたり、簡単な運動を行うなど工夫することで運動を行うことは可能です。
日ごろから、神経が圧迫されにくい姿勢で活動する、腰への負担が少なくなる動作法を取り入れるなどの対策を行うことで制限の少ない生活を送ることができます。
脊柱管狭窄症についての知識を得て、自分にあった生活の方法を工夫して過ごしていけばいいのではないでしょうか。
今回も最後までありがとうございました。