こんにちわ。
腰痛治療家で理学療法士の平林です。
腰椎すべり症や分離症になると、スポーツができなくなる・・・・
という話を聞いた事はあるでしょうか。
実際に腰椎すべり症や分離症になってしまったら、スポーツを辞めてしまう人がいます。
というのも、すべり症は分離症は中学や高校など10代でスポーツをしている子になりやすい傾向があるのです。
脊柱(背骨)は、正常な状態では滑らかな曲線を描いています。
しかし、過度な背骨への負担や骨折などによって、椎骨と椎骨の間が滑ってしまい、上下の骨でズレが生じてしまう事があります。
このズレが生じている状態でスポーツを行うことが可能なのか心配になるでしょう。
実際には、無理をしなければ症状に応じてスポーツを継続することが可能です。
そこで、今回は腰椎すべり症でもスポーツはできる。問題ない。というテーマで話します。
この記事を読めば、
◎ 腰椎すべり症でもスポーツをしても問題ない。という事が理解できて安心できる
といったメリットがあります。
最後まで読んで、腰椎すべり症でスポーツ復帰に悩んでいるあなたや腰椎すべり症に興味のある、あなたのの参考になれば幸いです。
では、本日もよろしくお願いいたします。
腰椎すべり症でもスポーツは問題ない
腰椎すべり症と診断されてもスポーツを行うことは十分可能です。
ただし、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
そのポイントを説明していきます。
腰の筋力をつけよう
まず、腰の筋力をつけることがポイントの1つ目です。
しっかりと脊柱を支え、正しい姿勢(動的、静的)をキープできる筋力を維持する必要があります。
ですが、すべり症は、筋力が強い人でも発症することがあります。
むしろ激しいスポーツを行っていて、かなり強い筋力を発揮している方が発症するリスクも高くなります。
ここで疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。
というのも、矛盾を感じる点だと思いますが。
誤解がないように説明します。
スポーツで腰椎すべり症のリスクが上昇するのは、筋力が強いからではなく、腰の使い方や腰への負担の具合、動作の内容に原因があります。
筋力が強いことは良いことなのですが、その強い力を使って、急激に背中を反ったり、捻ったりすることは腰に大きな負担を与えて、良くありません。
バレーボールのアタックや野球のバッティングが良い例です。
筋力が強ければ強いほど、このような動作で腰椎に大きな力がかかることとなります。
このような大きな力は、腰椎を分離させる方向に働いてしまい、その結果すべり症を引き起こしてしまう。
という状況があるのです。
全員がこのような過程を踏む。
というわけではありませんが。
強い負荷が腰に加わって、すべり症になってしまう。
という場合もあるのです。
また、腰の障害を起こして筋力が低下している場合は、筋力を強化して適正筋力へ戻してあげる必要があります。
そして、筋力を正常以上持っている場合でも、左右のアンバランスがあるような場合では、筋力の左右のバランスを調整する必要もあります。
高齢者などで、絶対的な筋力が低下している場合は、姿勢を保持できる程度まで改善させる必要もあるでしょう。
競技者レベルのトレーニングは専門的となりますので、ここでは一般の方が自宅で自主訓練できるものを例としてご紹介しておきます。
四つ這いの姿勢で、対角線上の手足を同時に上げる方法です。
左右交互に行いましょう。
左右差をなくすようにバランスよく行いましょう。
動作はゆっくり確実に行い、しっかりと上げて5秒程度保持すると良いでしょう。
腰を上げる運動も良いでしょう。
お尻が下がらないようにしっかりと上げるのがポイントです。
しっかりと上げたら5秒程度保持しましょう。
両手で床を押さないように注意してください。
両手を胸の前で組んで行うと、手で床を押さえるのを防ぐことが出来ます。
余裕があったら、片足を床から浮かせて、片足だけでお尻を上げる方法もあります。
腰の柔軟性をあげよう
腰の柔軟性は、正しい姿勢を保持するため、またスムーズな動作を行うために必要です。
柔軟性が低下すると、腰部に余計な負荷がかかり、椎間板の損傷、椎間関節の炎症などの原因になることがあります。
腰部の柔軟性は、脊柱の正しい姿勢のための基本的な要素となりますので、継続的に維持されるべきでしょう。
自分で実施するメニューとしてはストレッチがあります。
脊柱の屈伸等に関する筋肉、股関節に関する筋肉を中心にストレッチを行いましょう。
ストレッチは反動をつけずにゆっくりと時間をかけて行ってください。
保持時間は20~30秒が目標です。
ストレッチの動作によって、足の方へしびれや痛みが走る場合は、坐骨神経への圧迫を生じている可能性もありますので、その動作は中止してください。
伸ばしている筋肉のみ、突っ張った感じや軽い痛みが生じるのは正常です。
ただし、強い痛みを我慢して無理に行わないようにしてください。
筋肉の緊張が増し、逆効果となる場合があります。
ストレッチの種目についていくつかご紹介しておきます。
ご自分に合ったものを選んで行ってみてください。
継続することが重要です。
無理に種目を増やす必要はありません。
〇両膝を抱え込む運動
〇体幹の回旋運動、上半身が回らないように注意して
〇片膝を胸に引き寄せる運動と体幹の回旋
〇ハムストリングス(ももの裏側の筋肉)のストレッチ
〇体幹の側屈
〇股関節の伸展
そもそも、症状が悪化していなければ問題ない
そもそも、腰椎すべり症と言っても、状態は様々で、症状の出方も異なります。
極端に言えば、全く症状が出ないものもあれば、神経を圧迫して重度の症状を呈する場合もあるという事です。
また、全ての例で進行して、どんどん症状が重くなるという訳でもありません。
したがって、症状や腰椎の状態をみながらスポーツを継続してみて、全く症状が悪化しなければ、それほど気にする必要はありません。
ただし、症状が出現した場合、特に足への痛みやしびれなどの神経症状が発生した場合は、悪化の兆候の可能性がありますので、一旦中止して医師の診察を受けることをお勧めします。
腰部の一時的な痛みだけであれば、運動の強度を落として、様子を見ても良いでしょう。
で、腰椎すべり症があるからと言って、症状がなけば不安にならずにスポーツを続けていいでしょう。
しかし、ケアを十分する必要はあります。
練習前・後に必ず、アフターケアをわすれない様にしましょう。
腰椎すべり症は子供がなりやすい
腰椎すべり症は、先天的なものや後天的なものがあります。
先天的なものは子供の時に診察を受ければ早期に発見されるでしょう。
しかし、症状が出やすい思春期頃に診断を受けることが多いようです。
先天的なものはそれほど多くはありません。
後天的なものでは、腰椎分離症から起こるすべり症が多く見られます。
近年スポーツの開始年齢が下がり、さらに練習量が多くなっているため、子供の脊椎分離(腰椎が多い)が増加しています。
熱心にスポーツをすることで、一般の子供と比較すると3倍程度発症リスクが上がります。
年齢的には、10~14歳頃に多く発症しているようです。
腰椎分離を生じると、腰椎すべり症へ進行する場合があり、これが子供の腰椎すべり症が多い原因となっています。
分離症からすべり症へ進行するのは10~20%と言われています。
スポーツ時に反復して激しく腰を反らせ、回旋させることで腰椎の関節に大きな力がかかり、腰椎分離(骨折の一種です)を起こしやすくなるのです。
早期に治療をすれば腰椎分離は治療することが出来ます。
しかし、対策を行わず放置すると骨がつながらなくなり、腰椎は分離したままとなる場合があります。
なので、成長期の腰痛を見逃さず、早期に治療を開始することが肝要といえるのです
理学療法士の意見・考えをまとめた
運動は身体に良いと言われますが、スポーツにはデメリットもあります。
特に成長期に無理なスポーツを行うと、身体に障害を与えてしまい、将来的に同じスポーツを(最高のパフォーマンスで)行うことが出来なくなることがあります。
無理な投球で、肩や肘を痛めてしまう野球選手は少なくありません。
今回お話ししている腰椎すべり症を持つ選手も多くいます。
成長期の無理も影響していると思います。
若いのに故障してしまう選手を見ると残念ですよね。
選手が長い間活躍できるためには、計画的に、科学的に練習を行っていく必要があります。
一時的な勝敗のために選手生命が絶たれることがないように、指導者はスポーツの技術面だけでなく、選手の身体管理について十分に知識を持つべきでしょう。
練習と休息。練習負荷と休息。
バランスが大切になると思います。
どんな指導者でも、この意識をもって欲しいなあと思います。
まとめ
今回は腰椎すべり症とスポーツについてお伝えしました。
腰椎すべり症を発症すると、痛みや神経症状を呈することがありますが、スポーツを継続することは可能です。
対策として、筋力の強化や柔軟性の改善などがは有効です。
さらに、そのスポーツに応じた適切な体の使い方を学ぶ。
これらを実施しながら、症状に応じてスポーツを行っていくと良いでしょう。
ただし、症状が悪化した場合はスポーツを中止して、診察を受けることをお勧めします。
特に足にしびれや痛みが出る(坐骨神経痛の症状)など、神経症状が出現した場合は、放置せず、専門的な治療を開始する必要があります。
腰椎すべり症は成長期のはげしいスポーツによって原因が作られることがありますが。
成長期の腰痛には特に注意をしていただく方がいいと思います。
今回の話が少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までありがとうございました。